安川電機、20年度第2四半期(3~8月)売上は11.8%減の1,868億円

 ㈱安川電機が10月9日に発表した2021年2月期第2四半期(2020年3~8月)連結業績によると、売上収益は1,868億46百万円(前年同期比11.8%減)、営業利益は132億94(同8.3%減)、税引前利益は131億9百万円(同7.4%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益95億10百万円(同5.3%減)となった。

 第2四半期における安川電機グループの経営環境は、世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、グローバルで設備投資を控える動きが継続するなど厳しい状況となった。そのような中、中国においては生産活動の正常化がいち早く進み、ニューインフラ関連を中心とした投資が積極的に行われたほか、自動車市場においても回復の兆しがみられた。

 このような環境において安川電機グループの業績は、ACサーボモータ・コントローラ事業において中国の売上が伸長した一方、ロボット事業を中心に顧客の工場の操業低下による影響を受け、売上収益が前年同期比で減少した。営業利益は売上の減少により減益となったが、営業利益率は経費の抑制により前年同期から改善した。

■地域別の経営環境

日本: IT投資の増加により半導体・電子部品関連の設備投資は底堅く推移したが、自動車市場などの需要は総じて伸び悩んだ。

米国: 半導体市場では設備投資が継続したが、オイル・ガス市場や自動車市場の需要が低迷するなど、全般的には低調に推移した。

欧州: 自動車をはじめ市場全般で需要は低調に推移した。

中国: 製造業全般で生産活動の正常化が進み、次世代通信規格「5G」関連などへの投資が積極的に行われた。また、中国国内における公共インフラ関連の設備投資も堅調に推移した。

中国除くアジア:韓国における半導体市場などで設備投資が底堅く推移したものの、アセアンを中心に自動車関連の需要は伸び悩んだ。

 安川電機2021年2月期第2四半期データ

■セグメント別状況

<モーションコントロール>

 売上収益 858億65百万円 (前年同期比 △8.1% )、営業利益 124億31百万円 (前年同期比 +4.4% )

 モーションコントロールセグメントは、ACサーボモータ・コントローラ事業とインバータ事業で構成されている。

 ACサーボモータ・コントローラ事業における中国の売上が増加した一方、インバータ事業での米国の販売が落ち込んだ。この結果、セグメント全体では前年同期比で減収となったが、中国の売上伸長に伴う収益性の改善や経費抑制の効果により営業利益は増加した。

〔ACサーボモータ・コントローラ事業〕

 中国において電子部品や金属加工機向けなどの売上が伸長したことに加え、米国などで半導体関連の需要が底堅く推移するなど、売上は堅調に推移した。

〔インバータ事業〕

 中国のインフラ関連が堅調だったものの、米国のオイル・ガス関連需要が大きく落ち込むなど、売上は減少した。

<ロボット>

 売上収益 653億96百万円 (前年同期比 △18.9% )、営業利益 24億86百万円 (前年同期比 △36.7% )

 自動車市場においては顧客の工場の操業低下により設備投資が抑制され、売上は伸び悩んだ。一般産業分野では、中国の5G関連需要に加え、コロナ禍における自動化ニーズの加速を背景とした投資を積極的に行う動きがみられた。また、半導体ロボットの販売が国内や韓国などで堅調に推移した。

 セグメント全体での営業利益は、経費抑制を進めたものの売上の減少や操業度の悪化により減少した。

<システムエンジニアリング>

 売上収益 244億25百万円 (前年同期比 △7.2%)、営業利益 1億95百万円 (前年同期比 3億77百万円改善 )

 システムエンジニアリングセグメントは、環境・社会システム事業と、産業用オートメーションドライブ事業で構成されている。

 セグメント全体の売上収益は国内を中心に減少したものの、営業利益は構造改革や新製品の市場投入効果などで改善した。

〔環境・社会システム事業〕

 太陽光発電用パワーコンディショナの販売は新製品の市場投入効果などにより改善した一方、大型風力発電用電機品や上下水道用電気システム関連の売上が新型コロナウイルスの影響などで減少した。

〔産業用オートメーションドライブ事業〕

 鉄鋼プラント関連を中心に売上は総じて堅調に推移した。

<その他>

 売上収益 111億59百万円 (前年同期比 △2.3% )、営業利益 △2億 7百万円 (前年同期比 1億37百万円悪化)

 その他セグメントは、物流サービス事業などで構成されている。前年同期に対し、売上収益は国内を中心に減少し、営業利益は悪化した。

■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明

 2021年2月期(2020年3月1日~2021年2月28日)の連結業績予想を以下のとおり。

 売上収益 3,668億46百万円(前期比10.7%減)、営業利益 222億94百万円(同7.9%減)、税引前利益 225億9百万円(同8.7%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益155億10百万円(同0.4%減)。

 需要動向は、20年度下半期から2021年度にかけて緩やかに回復に向かうことを想定している。また、取り巻く環境では、ACサーボ・コントローラ事業における半導体・電子部品市場の底堅い動きやロボット事業における自動車市場の緩やかな回復傾向など、一部に明るい兆しがみられる。しかし、2020年度中は新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴う人の移動制限などが見込まれることに加え、米中貿易摩擦の再燃などにより経済活動の本格的な回復までには時間を要することが想定される。

 なお、2020年9月1日から2021年2月28日までの期間における平均為替レートは、104.0円/米ドル、123.0円/ユーロ、15.40円/元、0.090円/ウォンを想定している。

 安川電機の2021年2月期第2四半期決算短信

 第2四半期決算概況