タダノ、ドイツ子会社2社の事業再生手続きを申請

 ㈱タダノは10月8日、欧州事業の中核を担うドイツ子会社Tadano Demag GmbH(以下TDG)とTadano Faun GmbH(以下TFG)が、現地法に基づく事業再生手続きを進めることを決定し、現地裁判所に手続きを申請したと発表した。負債総額は、TDG・TFG 合算で374 百万ユーロ(約453 億円、2020 年6 月末時点)。なお、詳細は、2020年10月8日付け開示情報参照。

 タダノは2019年7月31日、ドイツ・Demagブランドのクレーン事業を買収し、オールテレーンクレーンの更なる拡充とクローラクレーンという新たな製品ラインナップを加え、顧客の幅広いニーズに応えるようになった。買収以来、TDGと既存のTFGは統合活動を進め、グループとしてのシナジー効 果発揮と早期の黒字化を目指し努力してきたが、今年発生した新型コロナウイルス感染症の影響によって、世界のクレーン需要は停滞し、欧州事業の黒字化に向けた計画にも大きな遅れが生じる見 通しが判明した。

 タダノはこの手続きによって欧州事業の再建がよりスピーディに進み、グループ全体の長期成長につながるものと判断し、TDG・TFGの再建計画を全面的に支援していく。

 両社が生み出す画期的な製品・サービスはタダノグループの重要な柱であり、再建後はオールテレーン クレーン・クローラクレーンの設計・購買・生産・販売・サービスのバリューチェーン全体における大きなシナジー効果や生産の最適化によって、より良い製品・サービスを顧客に提供できるものと確信している。

 手続き中もTDG・TFGでは設計・購買・生産・販売・サービスの活動を継続するので、日本も含めた世界中の顧客への販売やサービス対応に影響は及ばない。なお、今回適用される同国の制度は、申請会社が債務超過に陥っていないこと、また将来の事業再建の見通しが明るいことなどが適用条件となる。さらに各社の経営陣はそのまま再建計画に携わることができる制度となっているため、よりスピーディかつ効率的に再建を進められると考えている。

 現在は事業再生手続きの申請が完了した段階であり、これから具体的な再建計画の策定とともに、グループを挙げて欧州事業再建に注力していく。

◆タダノグループについて

 株式会社タダノは、1955年に日本初の油圧式トラッククレーンOC-2を開発して以来「創造・奉仕・協力」の経営理念のもと、安全で品質の高い製品を提供し、グローバルに成長してきた。現在、国内外にグループ会社42社、生産拠点11か所を展開し、「世界に、そして未来に誇れる企業」を目指して、全てのステークホルダーの期待に応え、企業価値を最大化する取り組みを進めている。

◆Tadano Demag GmbH について

 同社はドイツ・ラインラント=プファルツ州・ツヴァイブリュッケン市に位置し、2019年にタダノが買収 したDemagクレーン事業の中核をなす企業。Demagもタダノと同様にLE(=Lifting Equipment) 分野における製品開発・製造の長い歴史を有している。現在はラチスブーム式クローラクレーン、オールテレーンクレーンなどを製造しており、高い技術力や製造面でのノウハウで顧客から高い支持を受けている。

◆Tadano Faun GmbH について

 同社はドイツ・バイエルン州・ラウフ市に位置し、1990年にタダノが買収した。前身であるFAUN社もLE分野における製品開発・製造の長い歴史を有しており、現在はタダノグループにおけるオールテ レーンクレーンの開発・製造の中核を担っており、ATFシリーズをはじめとする各製品は長らく顧客の愛顧を受けている。

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