㈱神戸製鋼所は9月29日、大手セラミックメーカーである京セラ向けに、神戸製鋼子会社のQuintus Technologies AB※1(スウェーデン。以下、クインタス社)が製造する等方圧加圧装置(IP装置)の一種である「冷間等方圧加圧装置(CIP装置)」を納入したと発表した。
神戸製鋼は、2017年にIP装置における世界トップメーカーであるクインタス社を買収し、以降、日本での販売代理店となっており、今回が国内企業への初納入となる。
IP装置は、金属やセラミック、カーボンなどの素材を高圧・高温(又は常温)環境下において、等方圧で加圧焼結または成形する事で、均質性、強度、耐久性などに優れた高品質な製品の製造を可能とするもの。発電用タービンブレード、半導体関連素材、航空機部品などの高機能製品に幅広く適用されており、今後も需要拡大が期待できる分野。
クインタス社製の大型IP装置は生産性に優れることから、神戸製鋼子会社となる前から多くの国内企業で導入に向けた検討がされてきた。しかし、国内法規への適用や国内でのアフターサービスに対する問題等から導入は進んでいなかった。そこで、神戸製鋼が販売代理店となる事で、こうした導入への障害を取り除き、顧客のニーズに応える事が可能となった。また、加えて今回の納入では、制御システムや付帯設備および現地工事についても、神戸製鋼所が実施することで、神戸製鋼グループがシステム全体を一括提案ができたことから受注に繋がったとしている。
神戸製鋼は、成長性の高いIP装置の市場において、クインタス社と共に新規需要の掘り起こしを積極的に進めている。IP装置以外でも、フレックスフォーム液圧板金プレス装置(通称:SMF装置)についても、日本での販売代理店として営業活動を行っている。SMF装置は、板金プレスにおいて、複雑な形状の部品を製造でき、従来のプレス機に比べ、低コスト短納期での製造が可能であることから、主に航空宇宙や自動車分野における多品種少量の重要部品や試作部品生産に適したもの。
今後更に神戸製鋼グループとしてシナジー効果を追求し、日本の顧客への拡販を進めていく。
※1:クインタス社:神戸製鋼所が2017年4月に約130億円で買収し、完全子会社とした。IP装置の分野では、今後伸張が期待される航空宇宙分野を中心に、欧州・米国で圧倒的なプレゼンスを発揮している。圧力媒体に液体を使用する今回のCIP装置に加え、媒体にガスを使用するHIP装置についても、非常に高い技術と市場シェアを保有している。
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