技研製作所、豪グループ企業のJスチールが圧入工事をトータルパッケージで受注

・鋼材商社からグローバルエンジニアリング企業へ転換の挑戦実る

 ㈱技研製作所(本社:高知市)は8月6日、グループ企業・Jスチール(本社:オーストラリア)が、西オーストラリア州の州都・パースの化学液剤タンク再構築計画で、インプラント工法Ⓡによる防液堤工事を元請として受注したと発表した。

 Jスチールはこれまで鋼材販売をメインとする商社でしたが、今年度より本格的に、圧入でしか生み出せない価値や文化によって世界の建設をグランドデザインする「グローバルエンジニアリング企業」へのビジネスモデル転換に挑んできた。圧入技術を核として設計から鋼材供給、施工まで担うトータルパッケージ※での受注に至った本案件は、チャレンジの成功を示す快挙。

 受注案件では、タンクに影響しない振動の少ない工法を探していた化学メーカーに対し、Jスチールが無振動、無騒音をはじめとした圧入の優位性を説いてコンサルティングを行い、トータルパッケージで受注に至った。同グループは引き続き名実ともにグローバルエンジニアリング企業に生まれ変わった同社を通じ、オセアニア地域においてインプラント工法Ⓡのパッケージ展開を進めていく。

※ 従来の建設機械、圧入工事事業を融合した上で、企画設計や部材調達、維持管理を結び付けて一体的に提供すること。これによって構造物とその工事を最適化できるほか、新しい付加価値を創出、提案することが可能になります。当社は長期ビジョンで「インプラント工法Ⓡのパッケージ化によるグローバル展開」を掲げている。

■Jスチール

 世界最大の鉄鋼メーカー・アルセロールミッタルの正規代理店であるJスチールは2017 年4月、無振動、無騒音施工や“仮設レス施工”、工期、工費の縮減を実現する圧入技術を高く評価し、オセアニア地域の企業として初めて技研製作所の杭圧入引抜機「サイレントパイラーⓇ」を導入した。鋼材の仕入れ価格の変動や価格競争で利益が左右されるビジネスから脱却し、新たな事業展開の足掛かりにする狙いだった。技研製作所としても、同社が有する質の高い海外案件情報やネットワーク、材料調達力が今後のグローバル展開に資すると判断。相乗効果を見込み、同年12月に過半数の株式を取得し、子会社とした。以来、Jスチールを鋼材商社からグローバルエンジニアリング企業に転換すべく、技研製作所から執行役員らを同社に派遣し、工法推進や案件創出に関する指導やアドバイスを続けてきた。

■工事概要

 再構築計画は、化学液剤を貯蔵する比較的小規模なタンク7基を取り壊して大型のタンク2基(1基は直径32m、高さ24.5m)を新設するもの。Jスチールが請け負う工事では、万が一の液剤の流出事故に備え、エリア外への漏洩をせき止める高さ2mの防液堤を新設する。長さ8~11.8mの600mmU形鋼矢板を約600 枚圧入して2基の新設タンクを囲み、新造タンク内の全液剤が流出しても外部への漏液を完全に防ぐ遮液壁体を構築する。

■受注理由

 既存タンクの近接地に鋼矢板を打設する防液堤の工事では、施工時に大きな振動を発生させるとタンクの機械装置に影響を及ぼす恐れがあった。また、鉄道が現場のすぐそばを通っているため高い安全性が求められた。提案活動では、無振動、無騒音で施工できる上、原理上転倒の恐れがなく、鉄道近接地での工事実績が豊富なインプラント工法Ⓡが高い評価を受け、受注に至った。

■今後の期待

 オーストラリアでは、民間工事を中心に圧入技術を駆使しなくては造れない構造物が数多く見受けられる。技研製作所は今後もJスチールと連携を図り、トータルパッケージでの受注を目指した提案活動を活発化させていく。

<工事概要>

工事名:Coogee Chemical Piled Bund

工事場所:Kwinawa, West Australia

発注者:Coogee Chemicals PTY LTD

元請・施工:Jスチール

※技研グループによるエンジニアリングおよび技術支援

使用機材:サイレントパイラーⓇ SCU-ECO600S

杭材型式・寸法:GU23N (U形鋼矢板600mm 幅) L=8.0~ 11.8m

圧入工工期:2020年7月初旬~8月中旬予定

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