ヤマシンフィルタが8月4日に発表した2021年3月期第1四半期(4~6月)連結業績によると、売上高は28億58百万円(前年同期比4.3%増)となり、営業損失は98百万円(前年同期は1億17百万円の営業利益)、経常損失は1億1百万円(前年同期は99百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失は82百万円(前年同期は61百万円の親会社株主に帰属する四半期純利益)となった。(数値表記は原文尊重)
■第1四半期の経営概況
4~6月期における世界経済は、新型コロナウィルスの感染拡大により停滞していた各国の経済活動が再開に向けた動きを見せる中、再び感染拡大の第2波、第3波の兆候が見られる。各国では、感染拡大の防止策の実施と、経済活動の再開の両立を模索しており、先行きの見通せない不透明な状況が続いている。
また、ヤマシンフィルタグループの主力事業である建機用フィルタ事業における建設機械市場においても、2020年3月以降継続して行われた各国でのロックダウンの影響により主要得意先各社の生産活動やサプライチェーンに大きな影響が生じ、日本、米国、欧州、アジア市場において需要は減少した。
一方、中国では、ヤマシンフィルタの主要得意先各社の市場占有率が大幅に縮小し、中国系建機メーカーの市場占有率拡大が継続する中、年間で最も需要の高まる春節期における受注が後ろ倒しになった影響に加え、景気対策の奨励金の効果等もあり、油圧ショベルの新車販売台数は2020年3月以降前年度と比較し大幅な増加を記録するなど需要は全体で増加した。同市場では、今後、政府主導による公共事業投資に伴う建機需要の下支えや、2021年度以降に予定される第4次環境規制対応に向けた新車の駆け込み需要等が想定され、引き続き需要の増加が見込まれている。
このような環境の中、4~6月期において、ヤマシンフィルタグループは、既存ビジネスである建機用フィルタ事業においては、ヤマシンフィルタの強みである油圧ショベルの作動油回路用リターンフィルタ製品を主軸に、新素材やIoT技術を活かした製品ラインナップの充実を図り、純正部品の採用率向上に努めた。
とりわけ、世界最大の建機市場である中国市場においては、中国系建機メーカーへのリターンフィルタ製品を主軸としたヤマシンフィルタ製品の新規採用に向けた取り組みを強化しており、その採用実績は増加している。
また、もう一つの大市場である北米市場においては、ヤマシンフィルタの主要製品であるリターンフィルタ製品に加え、燃料用、トランスミッション用フィルタ等の新規採用活動についても大きな進展を見せている。更には、ヤマシンフィルタが独自に開発した合成高分子系ナノファイバーを使用したロングライフのフィルタ製品やタンク内の気泡を除去するエアレーション技術、フィルタの汚染度や交換頻度を感知するセンサ技術を搭載したフィルタ製品の主要得意先への積極的な提案を行っている。
このように、ヤマシンフィルタの中国系建機メーカーへのシェア拡大並びに日米欧を中心とした既存主要得意先へのヤマシンフィルタ製品の採用拡大に向けた取り組みは着実な進捗を見せており、ヤマシンフィルタの建機用フィルタビジネスに更なる成長が見込まれるとともに、高付加価値製品の普及により産業廃棄物の低減を実現し、地球環境の保全に貢献できると考えている。
また、エアフィルタ事業においては、ヤマシンフィルタの合成高分子系ナノファイバーの量産化技術を活用した新製品の開発による新規事業領域への参入を積極的に進めている。具体的には、低圧損で高捕集率のナノファイバー製エアフィルタを製品化し、オフィスビルや工場、鉄道車両、家電等への採用に向けた取り組みが進展している。これらの新製品の普及により、使用電力の低減によるCO2削減に加え、オフィスビルをはじめとした多くの人々が働く環境にきれいな空気を提供することにより、健康被害リスクの低減、地球環境の保全に貢献できると考えている。
更に、ヤマシンフィルタグループは、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う恒常的なマスク需要増大に対処すべく、ヤマシンフィルタ独自技術である合成高分子系ナノファイバーを活用したマスク並びに取替用インナーシートを製品化し、ヤマシンフィルタのECサイトを通じて2020年5月より販売を開始した。
また、70年に及ぶフィルタの専門メーカーとして培ってきた技術を活かし、新たにNIOSH(米国労働安全衛生研究所)の規格の一つであるN95マスク(注1)(日本の厚生労働省による、SARS(重症急性呼吸器症候群)、MARS(中東呼吸器症候群)、新型インフルエンザや結核菌の対策指定マスク)の性能基準をもとに、①フィルタ性能-捕集効率95%以上(注2)、②密閉性-装着中の顔とマスクの密着率90%以上(注2)、③通気性-長時間装着での呼吸のし易さ、というマスクに必要な3大性能を実現した一般消費者向けマスクとしては世界で初めてのヤマシン・オリジナルマスクの販売を2020年9月より本格化していく。
このようにヤマシンフィルタのマスク事業は、ヤマシンフィルタ独自技術を活かしたフィルタシートやマスク性能の差別化による全く新しい市場の開拓を図るパイオニアとして、中期的な事業ポートフォリオの拡充を図ってまいります。このような取り組みの結果の一つとして、2020年9月以降ドラッグストアチェーン等に対して本格的な量産供給が開始される見通しとなったことから、新たにヘルスケア事業としての業績貢献が見込まれるとともに、高性能マスク用フィルタシートや取替用インナーシートを使用したヤマシンフィルタオリジナルのマスクを普及させることにより、多くの皆様の健康被害リスクの低減に大きく寄与できると確信している。
今後、ヤマシンフィルタグループは医療現場等で必要とされる更なる高機能マスクの認証取得(日米欧の各規格(注3))に向けた取り組みを加速させるとともに、他のマスクメーカとは異なる高機能なマスク開発に邁進し、持続可能な経済・社会生活の実現に向けた企業貢献を積極的に行っていく。
(注1) N95マスク(Particulate Respirator Type N95)とは、アメリカ合衆国労働安全衛生研究所(NIOSH)のN95規格をクリアし、認可された微粒子用マスクのこと
(注2) ヤマシンフィルタ調べ
(注3) 日本における国家検定規格(DS)、米国におけるNIOSH規格(N95)及び欧州におけるEN規格(FFP)
これらの取り組みに加え、前期より国内大手アパレルメーカ数社に対し、秋冬物衣料の中綿材として、「YAMASHIN Nano Filter ™ 」の量産供給を継続しており、軽量かつ薄くて暖かいという素材の優位性を訴求し、ヤマシンフィルタ新素材の提案活動等を積極的に展開している。
今後、アパレル分野へのヤマシンフィルタ製品の供給が本格化することにより、動物愛護の観点からアパレルメーカ各社がESGへの取組みとして掲げている「脱ダウン」に大きく貢献できると考えている。
このように、ヤマシンフィルタグループは、独自開発の合成高分子系ナノファイバーの量産化技術を基に、建機用油圧フィルタ並びにエアフィルタの2つの事業を軸として、アパレル、ヘルスケアビジネスへの進出を加速させ、第3の事業ポートフォリオの確立を実現することで、中期的持続的な事業成長とESGへの積極的な取り組みを両立させ、企業価値の向上を図っていく。
以上のように、当第1四半期連結累計期間中、ヤマシンフィルタグループの各事業においてアフターコロナのビジネスへ向けた取り組みが進展した。しかしながら、新型コロナウィルスの感染拡大第2波、第3波の懸念等、世界経済全体や為替動向に先行き不透明さが残る中、2020年3月以降継続して行われた各国でのロックダウンの影響により主要得意先各社の生産活動やサプライチェーンに大きな影響が生じ、納期対応のための航空運賃の一時的な発生等によりヤマシンフィルタの第1四半期の業績は低調に推移した。
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
- ヘルスケア事業(新規事業)
ヤマシンフィルタグループは、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う恒常的なマスク需要増大に対処すべく、ヤマシンフィルタ独自技術である合成高分子系ナノファイバーを活用したマスク並びに取替用インナーシートを製品化し、ヤマシンフィルタのECサイトを通じて2020年5月より販売を開始した。
また、70年に及ぶフィルタの専門メーカーとして培ってきた技術を活かし、新たにNIOSH(米国労働安全衛生研究所)の規格の一つであるN95マスク(注1)(日本の厚生労働省による、SARS(重症急性呼吸器症候群)、MARS(中東呼吸器症候群)、新型インフルエンザや結核菌の対策指定マスク)の性能基準をもとに、①フィルタ性能-捕集効率95%以上(注2)、②密閉性-装着中の顔とマスクの密着率90%以上(注2)、③通気性-長時間装着での呼吸のし易さ、というマスクに必要な3大性能を実現した一般消費者向けマスクとしては世界で初めてのヤマシン・オリジナルマスクの販売を2020年9月より本格化していく。
このようにヤマシンフィルタのマスク事業は、ヤマシンフィルタ独自技術を活かしたフィルタシートやマスク性能の差別化による全く新しいマスク市場の開拓を図るパイオニアとして、中期的な事業ポートフォリオの拡充を図っていく。
このような取り組みの結果の一つとして、2020年9月以降ドラッグストアチェーン等に対して本格的な量産供給が開始される見通しとなったことから、新たにヘルスケア事業としての業績貢献が見込まれる。
(注1)N95マスク(Particulate Respirator Type N95)とは、アメリカ合衆国労働安全衛生研究所(NIOSH)のN95規格をクリアし、認可された微粒子用マスクのこと。
(注2)ヤマシンフィルタ調べ
- 建機用フィルタ事業
前回通期の業績見通しを公表した2020年5月19日時点と比較し、新型コロナウィルスの感染拡大第2波、第3波の影響などを踏まえ、世界経済全体や為替動向に先行き不透明さが残る中、当第1四半期については、2020年3月以降継続して行われた各国でのロックダウンの影響により主要得意先各社の生産活動やサプライチェーンに大きな影響が生じ、納期対応のための航空運賃の一時的な発生等によりヤマシンフィルタの第1四半期の業績は低調に推移した。
しかしながら、世界最大の建機市場である中国市場においては、日系メーカーを中心としたヤマシンフィルタの主要得意先各社の市場占有率が大幅に縮小し、中国系建機メーカー0の市場占有率拡大が継続する中、主力のリターンフィルタを中心としたヤマシンフィルタ製品の中国系建機メーカーへの標準品採用が着実に進捗している結果、第2四半期以降、ヤマシンフィルタの建機用フィルタ事業における業績は回復が見込まれることから、通期の業績予想を据え置いた
- エアフィルタ事業
エアフィルタ事業の業績見通しについては、株式会社アクシーの受注動向を踏まえ、予想を据え置く。
■2021年3月期の見通し
以上により2020年5月19日に公表した通期連結業績の以下の通り修正する。
売上高150億円(前期比18.4%増)、営業利益12億3,000万円(同58.2%増)、経常利益12億円(同98.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益7億9,000万円(同29.9%増)。
2021年3月期の想定為替レートについては、同日の公表値である米ドル108円、ユーロ121円を据え置く。
今後、市場環境の変化が業績等に影響を与える場合には速やかに開示する。
コメントを投稿するにはログインしてください。