オークマが7月31日に発表した2021年3月期第1四半期(4~6月)連結業績によると、受注額は25,970百万円(前年同期比25.6%減)、売上高は24,680百万円(同39.5%減)、営業利益は362百万円(同91.2%減)、経常利益は681百万円(同比84.3%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は238百万円(同91.4%減)となった。(数値表記は原文尊重)
第1四半期(4~6月)においては、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、消費活動や経済活動が大きく停滞し、世界経済は大収縮した。世界各国は、財政政策・金融政策を進めながら、感染防止と経済活動の両立を図る対応を進める中、一部の業種では需要の持ち直しの動きも見られた。
工作機械の需要動向については、年初から底を探る動きが見えつつあったが、新型コロナウイルスの感染拡大により、非常態ともいえる経済環境の中、需要は大幅な減少となった。
米国市場では、総じて工作機械の需要は縮小したが、一部の産業、企業では、下げ止まりの兆しが見られた。欧州市場では、ウイルス感染拡大の影響を大きく受け、内需は低迷し、輸出は振るわず、主な製造業である自動車関連、一般機械は設備投資に慎重な動きが続いた。
中国市場では、建設機械関連からの需要は、底堅さが見られた。ウイルス感染の鎮静化後は、斑模様ながらも幅広い業種で、工作機械の需要に持ち直しの動きが見られた。
国内市場では、ウイルス感染拡大の経済への波及を懸念し、投資を先送りする動きが見られた。そのような中でも、デジタル分野や新技術対応等への投資意欲は底堅く、半導体製造装置関連等の好調業種からの需要増が見られた。
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
今後の世界経済は、財政・金融政策、経済活動の制限の緩和により、持ち直しが期待される。一方、ウイルス感染防止の根本的な対策が確立されない中、感染拡大の第2波への警戒等、経済活動は抑制的な動きに留まることが見込まれる。景気拡大のスピード、タイミングを測ることは難しいものの、その足取りが確かなものとなる時には、新たな社会構造、経済構造での経済活動が進むと考えられる。
工作機械については、この新常態におけるものづくりで求められる需要が喚起され、拡大することが見込まれる。コロナ禍を機に顕在化したリモートでの稼働やその監視対応、そして非接触での安心、安全のための自動化・無人化のニーズは、従来の労働力不足への対応に加えて、新たな需要を喚起することが見込まれる。
このような経営環境の下、オークマグループは、これまで培った、スマートマシン、スマートマニュファクチャリングの技術を土台に、非接触、自動化・無人化、デジタル革新・DXへの取り組みで「総合ものづくりサービス」企業として成長していく。
営業面では、グローバルに新市場、新規顧客の開拓を進め、好調業種への販売拡大を図っていく。昨年9月にドイツ代理店を「Okuma Europe GmbH」の販売子会社化したのに続き、今年5月には、ベネルクス3国を販売エリアとする現地代理店を同様に販売子会社化して、「Okuma Benelux B.V.」を設立し、販売・サービス拠点強化を進めている。アフターコロナの世界も見据えたリモートでの商談、Webでの展示会等も展開し、市場開拓を進め、販売拡大に注力していく。
技術面では、独自のAI・知能化技術を搭載したスマートマシンの開発を進めると共に、次世代ロボットシステム「ROID」シリーズ等、自動化・無人化システムの更なる充実を図り、自動化・無人化ソリューションを提案して需要を喚起していく。また、デジタル技術を活用したリモートでの試切削対応、立会検査対応、加工技術支援対応を強化すると共に効率化を図り、受注拡大につなげていく。
製造面では、自社製品の超複合加工機「MULTUS U4000 LASER EX」での焼き入れ・旋削・ミーリングの工程を集約する等、当社の強みを活かした生産工程の刷新を展開し、また自社開発の「ARMROID」により多品種少量生産を自動化する等、次世代製造技術による生産効率の向上、コストダウンの拡大を図り、革新技術の実証を推し進めていく。調達面においては、BCPの観点からサプライチェーンの見直しを行い、調達先の分散等により安定した部品、ユニット等の供給基盤を確立していく。
オークマグループは、これまで培ってきた「機電情知(機械・電気・情報・知識創造)」融合の強みを展開し、無人化・自動化の対応力、デジタル革新技術・DXの提案力、トータルソリューションの提供力の強化を図っていく。そして、今期の営業、技術、製造の戦略を進めながら、ウィズコロナ、アフターコロナでの経済社会の変化を捉えて成長するための土台を築いていく。
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