ファナックが7月28日に発表した2021年3月期第1 四半期(4~6月)連結業績によると、売上高は1,092 億60 百万円(前年同期比18.8%減)、経常利益131 億40 百万円(前年同期比59.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益90 億91 百万円(前年同期比61.0%減)となった。(数値表記は原文尊重)
第1四半期の経営環境は、米中貿易摩擦の影響等により設備投資の減少が続く中、新型コロナウイルス感染症が拡大し、一段と厳しい市場環境となった。ファナックグループは、新型コロナウイルスの感染拡大防止を最優先としつつ、顧客への商品の供給とサービス活動の継続に努めてきた。また、現在の厳しい市場環境に対処すべく、経費削減、不要不急な設備投資の見直し、業務の合理化など企業体質の強化を図っている。
■部門別の事業概況
FA部門については、CNCシステムの主要顧客である工作機械業界において、中国で需要が回復し堅調に推移したものの、日本国内や韓国、台湾では需要が低調に推移した。また、ロックダウンの影響が顕著だった欧州、インドでも需要が落ち込んだ。レーザについても、需要が減速し、海外メーカとの競争がさらに厳しさを増している。これらの結果、FA部門の売上高は348億48百万円(前年同期比19.9%減)となった。
ロボット部門については、米州では自動車産業向けが低調だったが、一般産業向けは堅調だった。中国ではIT関連向けを中心に好調に推移した。一方、国内および欧州では低調に推移した。これらの結果、ロボット部門の売上高は406億30百万円(前年同期比13.7%減)となった。
ロボマシン部門については、ロボドリル(小型切削加工機)において、中国におけるパソコン、タブレット市場向けの需要が堅調に推移したものの、その他の地域および市場向けが落ち込んだため、売上が減少した。ロボショット(電動射出成形機)については、売上は前年同期に比べて減少したが、医療市場向けを中心に拡販に努めました。ロボカット(ワイヤカット放電加工機)についても、売上が減少した。これらの結果、ロボマシン部門の売上高は183億67百万円(前年同期比16.8%減)となった。
サービス部門については、世界各地でのロックダウンなどによる影響を受け、顧客の工場の稼働停止や工場の稼働率低下等により、同社サービスへの依頼が減少した。これらの結果、サービス部門の売上高は154億15百万円(前年同期比29.8%減)となった。
■連結業績予想に関する説明
2021年3月期の連結業績予想については、新型コロナウイルス感染症の拡大の程度や収束時期を合理的に予想することが困難なことから、2020年4月24日公表の「2020 年3 月期決算短信」では、通期連結業績予想は未定とし、第 2四半期累計期間の連結業績予想のみ開示していた。
今回、現時点で同社が把握可能な情報に基づいて、新型コロナウイルス感染症の拡大による同社グループ各社への影響を見込んで第2四半期累計期間の連結業績予想を修正するとともに、通期連結業績は、売上高4,233億円(前期比16.7%減)、営業利益385億円(同56.4%減)、経常利益477億円(同53.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益345億円(同53.0%減)と予想した。
しかし、今回の予想は、今後の新型コロナウイルス感染症の拡大の程度や収束の時期などにより大きく変動する可能性があるとし、開示すべき重要な事項が発生した場合には、すみやかに業績への影響を発表するとしている。
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