日立建機が7月27日に発表した2021年3月期第1四半期(4~6月)の売上収益は、新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)の影響による市況悪化を受けた油圧ショベル需要の減少、ならびに前年度と比較し円高基調で推移した為替の影響などにより、注力するバリューチェーン事業のうちレンタル売上は前年同期比で増加となったものの、1,701億5千7百万円(前年同期比△27.5%)と大幅な落ち込みとなった。利益項目については、売上収益の減少、為替の円高影響等により、調整後営業利益は29億4千万円(同△87.2%)、親会社株主に帰属する四半期利益は2億1百万円(同△98.5%)となった。(数値表記は原文尊重)
日立建機グループは、中期経営戦略の方向性として、これまで取り組んできたバリューチェーン事業をさらに強化させるため、デジタル技術を活用し、顧客とのあらゆる接点において深化したソリューションを提供するとともに、変化に強い企業体質への転換に取り組んでいる。
■セグメント業績
①建設機械ビジネス
第1四半期(4~6月)における油圧ショベル需要は、中国・日本を除く地域で前年同期を大幅に下回った。またマイニング機械の需要も鉱山会社による新規の設備投資が抑えられ、特に中小規模鉱山会社からの需要が大きく減少した。
この結果、第1四半期の売上収益は、ダンプトラック・レンタル・中古車は増加したものの、COVID-19の影響による市場の減速に伴う新車販売の減少や為替の円高影響等を受け、1,502億2千3百万円(前年同期比△28.9%)となった。
この売上収益の減少に伴い、調整後営業利益は、9億6千3百万円(同△95.4%)となった。
②ソリューションビジネス
同事業は、主としてマイニング設備及び機械のアフターセールスにおける部品サービス事業を行うBradken社とサービスソリューションを提供するH-E Parts社で構成されている。
第1四半期の売上収益は、COVID-19の影響による需要減少や為替の円高影響があり前年同期比で減少はしたものの、マイニングを中心とする根強い保守サービス需要に支えられ、203億7千7百万円(同△15.2%)となった。
調整後営業利益は、事業構造改革の効果はあったものの、売上収益の減少や円高影響で、19億7千7百万円(同△8.7%)となった。
なお、上記、①②の売上収益については、セグメント間調整前の数値。
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
2021年3月期の油圧ショベル需要見通しは、今後もCOVID-19の影響に伴う市場の減速が続き、多くの地域で前年度の需要を大きく下回り、前回5月公表時の見通しの通り、世界全体で約16万6千台(前年比△23%)となるものと現時点では想定している。
マイニング機械においても世界的な景気不透明感から顧客の新規投資は抑制傾向が強まると予想され、新車需要は減少すると見ている。一方で、鉱山の操業においては、一部地域では稼働停止となっている現場があるが、社会インフラを支える事業(Essential Business)として引き続き稼働中の国や地域もあり、日立建機の部品サービス事業やソリューションビジネスも、マイニング会社の機械・設備に関する保守サービス需要は根強くあると見ている。
以上の市況予測を踏まえ、2021年3月期連結業績予想(2020年4月~2021年3月)は、COVID-19の拡大に伴う需要減少の影響や、現時点でのその他さまざまな懸念材料を勘案し、2020年5月28日に公表(下記)した連結業績予想を据え置いている。
売上高7,700億円(前期比17.3%減)、営業利益360億円(同50.6%減)、親会社株主に帰属する当期利益200億円(同51.4%減)。
業績見通しの前提となる第2四半期以降の為替レートについても、米ドル105円、ユーロ120円、人民元15.0円、豪ドル72円を据え置いている。
第1四半期決算説明会(地域別市場見通し、決算概要)
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