・処理能力900トン/日の一般廃棄物焼却施設を長寿命化
・1999年1月に完成したストーカ式焼却炉の長寿命・省エネ化をはかる
・完工は2023年1月の予定、CO2排出量を年間約4%削減へ
三菱重工グループの三菱重工環境・化学エンジニアリング(MHIEC、本社:横浜市西区)は7月27日、東京二十三区清掃一部事務組合から、一般廃棄物焼却施設「港清掃工場」(港区港南5-7-1)の施設延命化に伴うプラント設備更新工事を受注したと発表した。処理能力900トン/日のストーカ式焼却炉(注1)設備を改修し、長寿命化および省エネルギー化をはかる。受注額は76億円(税抜)で、完成は2023年1月(3ヵ年継続事業)を予定している。MHIECは、同組合から2016年度にも有明清掃工場の延命化工事を受注して2019年度に完成させており、今回はこれに次ぐ工事となるもの。
同組合は2000年度、東京23区のごみ処理などに関する事務を目的に設立。千代田区に本庁舎を置き、建て替え中を含めて21ヵ所の清掃工場を管理しており、港清掃工場は三菱重工の設計施工により1999年1月に完成したもの。一般廃棄物焼却施設は処理能力300トン/日のストーカ炉3基および関連設備で構成され、22,000kWの発電能力を備えている。
今回受注した延命化に伴うプラント設備更新工事では、経年的に劣化した給じん設備・焼却炉本体設備・灰処理設備・集じん設備・洗煙設備・ボイラ設備・発電設備・蒸気復水設備・計装自動制御設備・給水設備を対象に主要機器の更新を行う。ボイラ水管の減肉対策として、Ni基合金の肉盛技術を採用。蒸気タービンおよび発電設備の主要機器を更新し、IR(赤外線)センサーによる制御技術を導入した燃焼改善により長期の安定燃焼ならびに安定操業をはかる。また、各種電動機に高効率モーターやインバータを採用することなどによる省エネ化をはかり、CO2排出量を年間約4%削減することで地球温暖化抑制に貢献する。
一般廃棄物焼却施設を長寿命化するとともに温暖化対策も施す改良工事は増加傾向にある。加えて、国が2010年度に関連する交付金制度(注2)を創設したことで、さらに活発化している。
MHIECは、三菱重工が長年培ってきた環境装置分野の技術開発力と国内外を含めた豊富な廃棄物処理施設の建設・運営ノウハウを2008年に継承。多数の実績に基づく建設から運営まで含めた総合的ソリューション提案力を強みとしている。
MHIECは、今回の受注とこれまでの実績をベースに、既存廃棄物処理施設の省エネ化や安定稼働の維持・向上、さらに維持管理費などを含めたL.C.C.(ライフサイクルコスト)低減に向けた提案を積極的に推進し、受注拡大をはかっていく。
(注1)耐熱金属の角材を並べた床の上で、廃棄物などの焼却対象物を突き上げることで移動させながら燃焼させる焼却炉で、一般廃棄物焼却炉の主流。
(注2)環境省が所管する廃棄物処理施設の有効利用と廃棄物分野の温暖化抑制に向けた設備の改良事業に基づき、一般廃棄物処理施設の長寿命化と温暖化対策を推進する市町村に対して、二酸化炭素排出抑制対策事業費交付金(先進的設備導入推進事業)もしくは循環型社会形成推進交付金として事業費の1/2もしくは1/3が交付される。
画像:港清掃工場港清掃工場
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