機械工業の生産額、2020年度は10.4%減と2年連続の減少見込み

・日機連が2020年度機械工業生産額見通し調査を発表

 日本機械工業連合会(日機連)が7月21日に発表した2020年度(令和2年度)機械工業生産額見通し調査(調査時点:6月15日)によると、機械工業生産額は、前年度比10.4%減の65兆3,704億円となる見通し。

<2020年度(令和2年度)の生産動向>

 我が国の2020年度の機械工業生産は、新型コロナウイルス感染症により、需要・供給両面で大きな影響が出ており、リーマンショック以来の厳しい状況になると見込まれる。上期は特に自動車を中心に輸送機械の生産が大きく減少し、全体の生産額は前年度15.3%減になると見込まれる。

 一方、下期は自動車の回復と、5G向けをはじめとした情報通信機械、電子部品・デバイスの生産増加が期待され、前年度比5.5%減まで回復するものと見込まれる。従って、2020年度全体としての機械工業生産額は、前年度比10.4%減の65兆3,704億円となる見通しである。

 この生産額は、リーマンショック翌年(2009年)の生産額(約61兆円)を上回るものの、2013年度以来の70兆円割れの生産額で、東日本大震災翌年(2012年)の生産額(約65兆円)とほぼ同等である。なお、先行き不透明感が強い品目もあり、新型コロナウイルスの影響が生産額見通しに反映されていない品目もある。

■一般機械の2020年度生産動向(機種別)

  一般機械の生産額は、前年度比(以下同様)6.3%減の14兆1,833億円となる見通しである。機種別にみると以下のとおり。

ボイラー・原動機は、ボイラー・タービンが国内はバイオマス発電、輸出は天然ガス向けの回復に期待するものの、石炭火力向けは引き続き厳しく、はん用内燃機関はガス機関が増加するものの、ガソリン機関、ディーゼル機関は減少を見込み、ボイラー・原動機全体で4.6%減。

土木建設機械は、国内が消費税増税による減少からの回復を見込み、輸出は地域により回復を見込むものの、不確定要素が多く、2.5%減。

合成樹脂加工機械は、期待していた自動車向けが厳しく、5G対応向けの計画の見直し等による回復の遅れがあり、15.0%減。

印刷・製本・紙工機械は、国内向けの物流に関連する機械は期待が持てるものの、国内外共に設備投資の落ち込みや、需要の先送りを見込み、12.8%減。

ポンプ・送風機・圧縮機は、官公需に期待するものの、民需が厳しいと見込み、10.0%減。

ロボットは、力化等による産業用ロボットへの関心の高まりは続いているものの、国内外共に投資の先送りや自動車向けの低調が続くと見込み、8.4%減。

動力伝導装置は、変速機が民間設備投資の伸びが期待できず減少、歯車は減少、スチールチェーンは在庫増加による生産調整が行われていることから減少を見込み、全体で14.1%減。

農業用機械器具は、国内が消費税増税前の駆け込み需要の反動による減少が続き、輸出も厳しく、全体で15.0%減。

金属工作機械は、国内外共に自動化、省力化のニーズは高いものの、大口の自動車向けをはじめ、多くの需要先で設備投資が厳しいと見込み、23.1%減。

繊維機械は、紡績機械、準備機械、織機等の大幅な減少を見込み、全体で17.5%減。

食料品加工機械は、飲料加工、肉類加工業界向けは横ばいを見込むものの、製パン・製菓、乳製品加工業界向け等で減少を見込み、全体で5.0%減。

包装機械・荷造機械は、期の回復に期待するものの、上期は更新需要の減少を見込み、2.7%減。

木材加工機械は、新設住宅着工戸数の減少による先行き不安を見込み、25.1%減。

事務用機械は、海外での現地生産が進み、国内生産は縮小傾向にあるものの、統計の品目が増えたことにより、44.5%増。

ミシンは、工業用ミシンが国内外共に減少、家庭用ミシンは国内が減少するものの輸出は微増を見込み、全体で4.8%減。

冷凍機・同応用装置は、冷凍機、冷凍機応用製品等の比較的高水準の生産が続いているものの、エアコンディショナの減少や輸出の減少を見込み、全体で4.1%減。

半導体製造装置及びFPD製造装置は、高水準の生産が続いており、半導体製造装置がロジック、ファウンドリー向けで横ばいを見込むものの、メモリ向けで増加、FPD製造装置はG10.5世代のTV用の需要増により、7.9%増加の見通しである。

 機械工業の主な動向の詳細は→ ニュースリリース