・山梨県が目指す CO2フリーの水素社会構築に貢献
日立造船は7月17日、山梨県企業局より、固体高分子型水電解大型セルスタック電解槽を受注したと発表した。
受注した装置は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業として、山梨県企業局が東レと東京電力ホールディングスおよび㈱東光高岳とともに、甲府市下向山町の米倉山で2016年度から2020年度末まで取り組む「CO2フリーの水素社会構築を目指したP2G※システム技術開発」の実証研究に用いられる。
実証研究は、再生可能エネルギーの導入拡大とCO2フリーの水素エネルギー社会構築のため、太陽光発電設備に水素発生装置を設置し、季節や時間によって変動する余剰電力を水素エネルギーに変換して貯蔵・利用を目指すもの。
装置は日立造船が開発した大型水素発生装置「HYDROSPRING®」をベースにしており、2019年6月に受注した固体高分子型水電解大型スタックの評価設備に追加搭載することで、隣接する太陽光発電設備で発電された電力(1.5MW)を利用して発生させた水素(400Nm3/h)を供給することができる。
日立造船は、2000年に水素発生装置「HYDROSPRING®」の販売を開始し、2018年にはメガワット級発電施設に対応可能な大型装置を開発した。また、産業界から排出されるCO2と、再生可能エネルギー(電力)を利用して水を電気分解することで得られる水素を反応させてメタンを生成するメタネーションプロセスの開発にも取り組んでいる。
今後も日立造船は、再生可能エネルギーの普及を積極的に推進し、政府が目指す2030年の再生可能エネルギー導入目標や、SDGs(持続可能な開発目標)達成に貢献していく。
※P2G(PtG):「Power to Gas」の略。再生可能エネルギーの余剰電力を利用して水素やメタンを製造し、貯蔵・利用する仕組み
<受注概要>
発注者:山梨県企業局
受注製品:水素発生装置「HYDROSPRING®」
水素処理能力:400Nm3/h
数量:1基
水電解槽:500kWの固体高分子型電解槽×2槽(納期:2020年度内)
(2019年度に500kWの固体高分子型電解槽×1槽を受注済み)