日本貿易保険(NEXI)は7月16日、三井物産及び独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が、共同で英国に設立したMitsui E&PMozambique Area1 Limited(MEPMOZ)を通じて20%の権益を保有する、モザンビーク共和国ロブマ・オフショア・エリア1鉱区(以下「エリア1鉱区」)におけるLNGプロジェクトにかかる融資に対して、保険の引受を決定したと発表した。
プロジェクトは、三井物産及びJOGMECが、フランス/Total S.A.、モザンビーク/Empresa Nacional de Hidrocarbonetos E.P.、インド/Oil and Natural Gas Corporation Limited、インド/Bharat Petroleum Corporation Limited、インド/Oil India Limited及びタイ王国/PTT Exploration and Production Public Company Limitedとともに、エリア1鉱区内のゴルフィーニョ・アトゥン・ガス田を開発対象として、天然ガスの生産・液化からLNGの輸送までを行う上中流一体型の事業。MEPMOZ社は2008年にモザンビーク北部沖合に位置するエリア1鉱区の権益を取得し、その後の探鉱・評価活動を通じて世界有数の巨大天然ガス田を発見した。プロジェクトはその豊富な天然ガス埋蔵量、並びに極東、アジア、欧州、中南米等のLNG需要地にアクセス可能な地理的優位性を活かして、今後も世界で需要の増加が見込まれるLNGの安定供給に貢献することが期待されている。
プロジェクトで生産される年間1,200万トンのLNGの約3割は、日本の電力・ガス会社が引き取る予定であるところ、これらのLNG引き取りにかかる一部の契約条件において、仕向地制限の緩和等、LNGの買い手にとっての柔軟性確保が図られている。このため、本邦企業がLNGを単に日本で引き取るだけでなく、海外で販売する等の柔軟な需給調整を行うことも可能となる。
NEXIは2007年4月、海外からの安定的な資源供給の確保に資するプロジェクトに対し、従来に比して低廉な保険料率と幅広いリスクのてん補範囲を提供すべく、「資源エネルギー総合保険」を創設し、これまでも複数のプロジェクトを支援してきましたが、従来は資源を日本で引き取る案件のみを対象としてきた。
そこで、NEXIでは2018年10月に制度改正を行い、我が国事業者による本邦向けに限定した長期引取契約がない場合であっても、我が国の資源エネルギーの安定供給確保及び供給源の多角化の観点から重要である本件のようなプロジェクトについても、「資源エネルギー総合保険」の適用が可能であることを明確化した1。本件は同制度改正後の適用第一号案件となる。
NEXIは、同プロジェクトが調達する総額144億米ドルのプロジェクトファイナンスのうち、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、三井住友信託銀行、日本生命、クレディ・アグリコル銀行 東京支店、ソシエテ・ジェネラル銀行 東京支店、新生銀行、及びスタンダードチャータード銀行 東京支店による融資(総額20億米ドル)に対して保険を引き受ける。なお、本件は株式会社国際協力銀行(JBIC)もプロジェクトへの融資を決定している。
NEXIは今後とも我が国の資源エネルギーの安定供給確保に資するプロジェクトや、本邦企業の海外事業展開を積極的に支援していく方針。