㈱安川電機が7月10日に発表した2021年2月期第1四半期(2020年3月1日~2020年5月31日)の経営成績によると、売上収益は90,802百万円(前年同期比15.5%減)、営業利益6,227百万円(同21.6%減)、税引前利益5,896百万円(同21.4%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益4,519百万円(同16.7%減)となった。
■経営成績に関する説明
第1四半期の経営環境は、世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、グローバルで設備投資に慎重な姿勢が強まった。その一方で、中国においては製造業全般で生産活動の正常化が進んだことに加え、ニューインフラ関連などへの投資が積極的に行われた。このような環境において安川電機グループの業績は、前年同期に対しロボット事業を中心に売上収益が減少した。営業利益は、売上が落ち込んだ影響などにより減少したが、収益性は経費の抑制などにより前年同期に対し横ばいで推移した。
■地域別の経営環境
日本:情報インフラ投資の増加により、半導体・電子部品向けなどで設備投資が底堅く推移した一方、自動車市場など多くの市場で需要は伸び悩んだ。
米国:半導体市場で設備投資を継続する動きもみられたが、自動車市場を中心に総じて需要は低迷した。
欧州:自動車をはじめ市場全般で需要は低調に推移した。
中国:製造業全般で生産活動の正常化が進んだことに加え、次世代通信規格「5G」関連などへの投資が積極的に行われた。一方で、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により外需が伸び悩んだ。
中国除くアジア:韓国を中心に半導体や電子部品などの市場で設備投資が底堅く推移したものの、製造業全般で需要は伸び悩んだ。
■セグメント別状況
<モーションコントロール>
売上収益 442億30百万円 (前年同期比△8.4%)、営業利益 65億79百万円 (前年同期比 +5.4%)。モーションコントロールセグメントは、ACサーボモータ・コントローラ事業とインバータ事業で構成されている。
ACサーボモータ・コントローラ事業における中国の売上が増加した一方、インバータ事業での米国の販売が落ち込んだ。セグメント全体では、グローバルで新型コロナウイルスの影響を受け前年同期比で減収となったが、経費の抑制などにより営業利益は増加した。
〔ACサーボモータ・コントローラ事業〕
中国では5G関連需要の増加を背景とした電子部品向け・金属加工機向けなどの売上が伸長したことに加え、その他の地域において半導体関連の需要が増加するなど、売上は堅調に推移した。営業利益については、中国の売上回復や経費の抑制などにより前年同期比で増加した。
〔インバータ事業〕
国内での販売が底堅く推移したものの、米国におけるオイル・ガス関連需要が大きく落ち込むなど、前年同期比で売上収益は減少し、営業利益も伸び悩んだ。
<ロボット>
売上収益 292億68百万円 (前年同期比 △25.2% )、営業利益 2億60百万円 (前年同期比 △87.0% )。
溶接・塗装ロボットなど自動車関連においては、欧米を中心にグローバルで設備投資が抑制されたことに加え、顧客の工場の稼動停止による影響を受け、売上が低迷した。一般産業分野向けでは、中国3C市場で5G関連需要を背景とした生産設備の自動化投資に回復の兆しがみられたものの、新型コロナウイルスの影響を受け、売上は伸び悩んだ。一方で、半導体ウエハ搬送用ロボットの販売は国内や韓国などで好調に推移した。
セグメント全体の営業利益は売上が落ち込んだ影響などにより前年同期から減少した。
<システムエンジニアリング>
売上収益 119億73百万円 (前年同期比 △16.1%)、営業利益 88百万円 (前年同期比 +37.0%)。システムエンジニアリングセグメントは、環境・社会システム事業と、子会社である安川オートメーション・ドライブ㈱が扱う産業用オートメーションドライブ事業で構成されている。
セグメント全体の売上収益は国内を中心に減少したものの、営業利益は構造改革や新製品の市場投入効果などで増加した。
〔環境・社会システム事業〕
太陽光発電用パワーコンディショナの販売は新製品の市場投入効果などにより伸長した一方、大型風力発電用電機品や上下水道用電気システム関連の売上が新型コロナウイルスの影響などで減少した。
〔産業用オートメーションドライブ事業〕
鉄鋼プラント関連の売上が伸び悩んだものの、港湾クレーン向けの販売などは堅調に推移した。
<その他>
売上収益 53億30百万円 (前年同期比 △7.2%)、営業利益 △71百万円 (前年同期比 1億19百万円悪化 )。その他セグメントは、物流サービス事業などで構成されている。
前年同期に対し、売上収益は国内を中心に減少し、営業利益は悪化した。
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
2021年2月期第2四半期(2020年3月1日~2020年8月31日)の連結業績予想は、新型コロナウイルスの感染拡大ならびに米中貿易摩擦の再燃による影響を受け以下のとおり。売上収益 180,802百万円、営業利益 10,727百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益8,019百万円。
なお、通期連結業績予想については、上記の理由によりグローバルでお客さまの設備投資の動向が不透明であり、通期業績を見通すことが困難な状況にあるので公表を見送った。
2020年6月1日から2020年8月31日までの期間における平均為替レートは、107.0円/米ドル、118.0円/ユーロ、15.20円/元、0.088円/ウォンを想定している。
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