・成長投資ファシリティにより、日本企業の海外事業展開を支援
国際協力銀行(JBIC)は7月7日、丸紅等が出資するアラブ首長国連邦(以下UAE)フジャイラ首長国法人Fujairah Power Company F3 LLC(以下FPCOF3)との間で、同首長国フジャイラF3天然ガス焚複合火力発電事業を対象として、融資金額約470百万米ドル(JBIC分、約517億円、110円換算)を限度とするプロジェクトファイナンスによる貸付契約を締結したと発表した。融資は、「成長投資ファシリティ」を活用し、みずほ銀行、三井住友銀行、三井住友信託銀行、BNPパリバ・フォルティス銀行及びスタンダードチャータード銀行との協調融資により実施するものであり、協調融資総額は約941百万米ドル(約1,035億円)。
同プロジェクトは、FPCOF3が、フジャイラ首長国のキドファ地区において、発電容量2,400MWの天然ガス焚複合火力発電所を建設・所有・運営し、完工後25年に亘りアブダビ首長国エミレーツ水・電力会社(Emirates Water and Electricity Company)に売電するもの。
日本政府は、2019年6月に改訂した「インフラシステム輸出戦略」において、インフラの設計・建設・運営・管理を含むシステムの受注や現地での事業投資の拡大の推進を表明している。また、2018年7月に日本政府が発表した「エネルギー基本計画」において、政策金融を活用した事業における日本企業の参入促進を通じたエネルギー産業の国際競争力強化及び国際展開の推進が掲げられている。融資はこうした政府の施策に沿うものであり、日本企業が出資者として事業参画し、長期に亘り運営・管理に携わる海外インフラ事業を金融面から支援することで、日本の産業の国際競争力の維持・向上に貢献するもの。
UAE政府は、「UAE Energy Strategy 2050」の一環として、クリーン・エネルギーの導入を推進している。同プロジェクトは、UAEにおいて増加を続ける電力需要に対応し、同国の持続的な経済成長を支援するものであり、同プロジェクトで採用される天然ガス焚複合火力発電所は、高効率で稼働柔軟性が高く、同プロジェクトを支援することは、同国政府のエネルギー政策にも沿うもの。
JBICは今後も、日本の公的金融機関として、様々な金融手法を活用した案件形成やリスクテイク機能等を通じ、日本企業による海外インフラ事業展開を金融面から支援していく。