中国工程机械工業協会及びCHPSAほか:2020 年6 月28 日(出所:経済日報より)
国家統計局が発表したデータによると、5 月の全国の油圧ショベルの生産台数は40,420 台で、前年同期比(以下、同比)82.3%の大幅な増加である。2020 年1 月から5 月までの全国の油圧ショベル累計生産台数は153,289 台で、同比14.7%増加している。
油圧ショベル生産台数の大幅な増加は、他の物理量指数の明らかな反発と相まって、マクロ経済の主要な指標の動きとの相互実証によって、当面の中国経済の積極的要素が次第に増えている動きを反映しており、経済は引き続き回復傾向を示している。
現在、中国の従業員の復帰と生産の回復、商業、市場の再開が全面的に推し進められ、生産と需要は引き続き改善しているが、疫病蔓延の衝撃による損失は未だ補われておらず、経済は通常のレベルにはまだ戻っておらず、国内経済の回復には依然として圧力にさらされており、通常の成⾧に戻るための経済の推進にはなお一層の努力が必要である。
■油圧ショベルの生産と販売は、大幅に改善
油圧ショベルはインフレ建設には欠かせない装備である。油圧ショベルの生産と販売台数は、インフラの投資状況をある程度示す「バロメーター」であり、経済の運行状況を観察するための重要な視点の一つでもある。
2020 年の年初、新型コロナウイルス肺炎の疫病蔓延の衝撃は、通常の生産と生活の秩序に直接影響を与え、厳しい予防と管理措置も必然的に経済活動に影響を与えている。このような背景の下で、2020 年1~2月の全国の油圧ショベル生産台数は、同比35.7%減少し、第1四半期の生産と販売台数は、同比19.9%減少している。
中国工程機械工業協会の業界統計によると、第1四半期の統計に組み入れられた25 社の母機メーカの各種挖掘機製品の合計販売台数は68,630 台で、同比8.2%減少し、そのうち、国内市場販売台数は、同比11.6%の減少している。
3月に入って以来、中国の疫病蔓延に対する予防と管理及び経済・社会発展の諸政策の統一的計画配置により、疫病の予防と管理状況は引き続き改善し、従業員の復帰と生産の回復、商業、市場の再開が加速され、油圧ショベルの生産と販売台数も大幅に回復している。
4 月の油圧ショベルの生産台数は同比49.5%増加し、販売台数は同比59.9%増加している。5 月の油圧ショベルの生産台数は同比82.3%増加し、販売台数は同比68%の増加である。この一連のデータに対応して、固定資産投資の同比累計減少幅は、3 月から縮小が続いており、5 月の固定資産投資は同比6.3%の減少で、減少幅は前4カ月と比べ4.0 ポイント縮小している、そのうち、インフラ投資(電力、熱、ガス、水の製造と供給を除く)は同比6.3%減少で、減少幅は前4 カ月と比べ5.5 ポイント縮小している。
光大銀行(Everbright Bank)金融市場部の周茂華マクロアナリストは、「油圧ショベルの生産と販売台数は、インフラプロジェクトへの投資のパイロット指標の一つである。油圧ショベルの生産と販売台数の明らかな回復は、中国のインフラプロジェクトと企業の従業員復帰と生産回復の進捗がさらに加速すると予告している。」と述べている。
国家統計局投資司の丁勇主席統計師は、安定した投資政策の効果が表れるに伴い、新規投資プロジェクトの着工は引き続き好転しており、前5 カ月の新規着工プロジェクト計画の総投資は7.9%増加し、増加率は前4 カ月と比べ6.8 ポイント加速している。5 月の建設機械製品の生産と販売は共に好調で、今後も投資が持ち直して行くことが見込まれていると述べている。
■物理量の指数は引き続き回復
実際に、油圧ショベルの生産と販売台数に密接に関係する固定資産投資指数が回復しているだけではなく、その他の経済活動の状況を反映する物理量の指標も持ち直しており、中国経済は再び正常な軌道に戻るスピードを速めている。
中国物流購買連合会(中:中国物流与采購連合会)のデータによると、5 月の中国大口商品指数(CMBI)は105.9%で、前月と比べ1.5 ポイント回復しており、そのうち、供給指数と販売指数は共に回復し、在庫指数は引き続き減少している。
現在、大口商品の「需給は共に好調」で、「六つの安定」、「六つの保証」政策支援の下、国内経済は急速に回復し、従業員の復帰と生産の回復に一応の成果が見られ、生産企業の今後の市場に対す期待は良好で、需要サイトのパフォーマンスも素晴らしく、企業の生産意欲は大幅に高まっている。
物流指標から見ると、5月の中国速達物流指数は108.8%で、前月と比べ4.3 ポイント回復し、2カ月連続回復をベースに引き続き回復を速めており、速達物流関連する商業活動は高い活躍度を保ち、経済運行は引き続き良好な回復基調を反映している。また、交通物流の運営はほぼ回復しており、鉄道の積載車数は、同比ほぼ横ばいである。
周茂華は「5月、一連の物理量指標は引き続き回復基調にあり、中国の実体経済が安定化へ向かい、供給と需要が好循環に入ったとの積極的シグナルを出している。物理量指標が実態経済のパイロット指標であることから、後続経済の拡大がさらに加速されることが期待されている」と述べており、また、国内需要の回復に伴い、企業の経営活動が正常化し、これに財政と金融が打ち出した大規模な企業支援政策を重ねることで、企業が出来るだけ早く難関を通り抜ける助けとなると述べている。
■経済成⾧の運動エネルギーが回復している
5月、製造業購買担当者指数は50.6%、非製造業活動指数は53.6%である。これらの指数は何れも連続3カ月悲観線(中:栄枯線)を上回っている。また、データには、3月以降、一定規模以上の工業付加価値、社会消費財の小売総売上高の同比増加率等の指標に「V」字型の回復が見られている。
周茂華は、物理指標にしろ、または国民経済運行の主要指標にしろ、何れも3月以降から改善傾向が続いており、これは国内経済が疫情の付きまといから次第に抜け出し、正常な生産と生活へさらに回復していることを示しており、一連の安定した投資、消費の促進及び安定した対外貿易等の政策の効果は加速して表れていると述べている。
周茂華は、「5月の小売データによると、固定投資の同比増加率は依然縮小しているが、経済活躍度は昨年同期のレベルとは依然として一歩離れた距離があり、6月分の経済データは、第2四半期のGDP が拡大ゾーンに戻るか否か決定するであろう」と述べ、また、現在、国内需要の運動エネルギーはさらに強化されて、工業生産はほぼ疫情暴発前のレベルに戻っており、第2四半期の経済は拡大ゾーンに再び戻る可能性は高いと思われると述べている。
ここ数カ月、各地は続々と消費者クーポン(中:消費券)、商品促進活動等を繰り出しており、加えてオンラインシーン、新ビジネスモデル等の消費モデルの急速な発展は、消費財の小売が引き続き回復するよう、国内居住者の消費の持続を刺激している。財政支出の増大とインフラ投資への重点を置くことで、インフラ投資の増加率は加速すると予想される。
交通銀行金融研究センターの劉学智上級研究員は、需給が徐々に改善されるのに伴い、経済成⾧の運動エネルギーは回復しつつあると述べている。5月と6月の工業付加価値の増加率がそれぞれ3.9%と4.4%に回復し、サービス業生産指数がすでに1%に回復しており、加えて各種の積極的措置が着実に実施されていることを考慮すると、第2四半期の経済は堅調な回復が予測され、小幅な成⾧が達成される可能性がある。
国家統計局の付凌輝スポークスマンは、5 月の主要指数が引き続き改善されたものの、当月の多くの指数は前年同期レベルより低く、累計的観点から見ても、多くの指数は依然として減少している、これは疫病蔓延の衝撃の損失が依然として補われていないことを示しており、経済は未だ通常なレベルには戻っていないと指摘している。
中国政策科学研究会経済政策委員の徐洪才副主任は、引き続き「六つの安定」、「六つの保証」政策をしっかりと遂行しなければならず、ビジネス環境をさらに最適化し、減税と手数料の削減を推進し、対外貿易企業の輸出から国内販売への転換を支援し、構造改革とグレードアップを実現すると同時に、アセアン10 カ国や、「一帯一路」の沿線諸国等の新興市場にも注視し、マルチチャンネル的アプローチで潜在力を掘り起こすことを提案している。
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