古河機械金属、ロックドリル部門が全自動ドリルジャンボを開発・販売開始

・高速かつ正確な自動せん孔により生産性向上を実現

 古河機械金属グループの中核事業会社である古河ロックドリル(東京都中央区)は、全自動ドリルジャンボ「J32RX-Hi ROBOROCK®」を開発、今年度より国内販売を開始したと発表した。定価は、582,000千円(税別)で、販売目標台数は初年度10台。

 ドリルジャンボは、岩石を破砕する鉱山やトンネル土木工事の発破工法に主要機械として使用されており、近年、山岳トンネル施工現場では、①作業員の安全性確保のための掘削作業の自動化、②発破工法の約6割を占める、せん孔作業の効率化・高精度化による生産性向上、③熟練作業員確保の困窮等が課題となっている。特に、ドリルジャンボは、手動で行うブーム操作・せん孔操作が複雑で、経験豊富な熟練作業員の勘に頼るところがあり、自動化技術の推進と生産性向上が求められてきた。

 古河ロックドリルでは、このような市場の要望に応えるべく、2016年から古河機械金属の技術統括本部先端技術部と全自動化を目的とした共同開発をスタートさせ、センシング技術を駆使したコンピュータ制御システムの開発を続けてきたが、このほど、熟練作業員でなくても一人で高精度せん孔ができる全自動ドリルジャンボ「J32RX-Hi ROBOROCK®」を完成させた。

 主な特徴としては、せん孔計画(ドリルプラン)に沿ってガイダンスするナビゲーション機能に加え、ロボット工学では一般的な逆運動学を使用したせん孔ブームの自動位置合わせ機能を追加することで、3式あるブームがケージを含め互いに干渉することなく、予め設定したせん孔位置・角度に最短ルートで自動ポジショニングするコンピュータ制御を可能にした。

 また、岩盤の変化に対応してせん孔操作の肝となるフィード・回転・打撃の3要素を自動調整することで、スムーズな全自動せん孔を実現した。

 これにより格段にせん孔作業を効率化・高精度化し、生産性向上による工期短縮に大きく寄与するとともに、作業員の安全性を確保した。さらに、補助ベンチ付全断面掘削工法※1に対応した“スライド格納式大型チャージングケージ”を2式搭載し、補助ベンチ長約4.5mまで作業可能な“3段伸縮式チャージングブーム”を採用したことで、補助工法や付帯作業の生産性向上も実現した。

 古河ロックドリルは、ドリルジャンボにおいて約80%の国内シェア※2を有しており、全自動ドリルジャンボを始めとする同製品群の拡販に対応するため、生産設備増強を実施し生産体制を強化している。今後も、引き続き顧客との関係を強化し、山岳トンネル施工現場でのICT化や無人化等の課題解決に取り組んでいく。

※1切羽の安定性と安全性を目的として、切羽の上段と下段で 2.0m 程度の前後差をつけ全断面を同時に掘削する工法。

※2シェアは古河機械金属調べ。

 詳細は、ニュースリリース