・PCR検査の前処理時間を大幅に短縮する画期的な検査キット
澁谷工業(本社:石川県金沢市)は6月11日、 国立大学法人鹿児島大学認定のバイオベンチャー企業である㈱スディックスバイオテック(代表:隅田泰生、所在地:鹿児島県鹿児島市城山 1 丁目 42- 1 )からインフルエンザ検査キットを既に受託生産しているが、このほど、厚生労働省より新型コロナウイルス 「SARS -CoV- 2(COVID 19)」検査キットが保険適用を受けたことに伴い、この検査キットの受託生産も開始することになったと発表した。
新型コロナウイルス検査キットは、鹿児島大学大学院理工学研究科の隅田泰生(すだやすお)教授が唾液による季節性インフルエンザウイルスの検査方法として独自に開発した「糖鎖固定化磁性金ナノ粒子(SMGNP)法」を応用したもので、PCR検査の前処理工程(検体からウイルスRNAを精製)を短時間に処理することができる。
PCR検査の前処理は、検体中に存在するウイルスからの遺伝子抽出と精製を行うもので、これまで1時間程度の時間と専門技術が必要だったが、この検査キットを使用することにより、この前処理時間を1検体3分程で専門技術を必要とせずに簡単に行うことができる。また、この検査キットは唾液採取のため、鼻咽頭拭い採取に比べ、くしゃみなどによる 医療関係者への飛沫感染防止と患者の苦痛を軽減できる。
澁谷工業は、この検査キットの生産をメカトロ事業部医療機本部が担当し、検査キットの販売は㈱スディックスバイオテックより6月15日に開始される。
※新型コロナウイルス検査キット
同キットは研究用試薬。医薬品医療機器法に基づく体外診断用医薬品としての承認・認証等を受けていない。ただし、「臨床検体を用いた評価結果が取得された2019-n CoV 遺伝子検査法について」(厚生労働省健康局結核感染症課 国立感染症研究所 2020年 6月10日版)に記載され、保険適用の対象となっている。
同キットを使用する際には、PCR装置や 分注ピペットなどの機材と検体や遺伝子の取り扱い技術を要するため、ドラックストアなどの小売店や個人への販売は予定されていない