三菱ロジスネクストが5月11日に発表した2020年3月期(2019年度)連結業績によると、売上高は、4,489億1,800万円(前年度比0.1%増)となった。営業利益は米州及び中国地域の減益が影響し、営業利益は84億3,700万円(同35.9%減)、経常利益は70億4,500万円(同48.6%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は欧州、中国及びタイの子会社に係る減損損失を特別損失として計上した結果、52億4,300万円となった。
なお、のれん等償却の影響を除くと、営業利益は183億3,100万円(同16.6%減)、営業利益率は4.1%(同0.8ポイント減)となっている。
また、2019年7月1日にその全株式を取得したEquipment Depot, Inc.(以下、「EQD社」)については、決算日を12月31日から3月31日に変更したことに伴い、2019年度に係る連結損益計算書には2019年7月1日から2020年3月31日までの9ヶ月間の業績が含まれている。
■経営成績の概況
2019年度における世界経済は、先行き不安を抱える中で手探り状態が続く形での推移となった。長引く米中貿易摩擦に端を発した各国輸出産業の停滞は一部では底を打ったとの評もあるものの、経済環境の良化は顕著とは言えず、製造業を中心とした新規投資抑制の動きはむしろ加速する様相を呈している。
同様の傾向は日本経済にも見られ、他地域に比すれば堅調ではあるものの、今後の経済状況に対する様子見の状況にあることは同様であり、打開策が見えない状態が続いている。こうした中、中国では2019年11月に発見されたCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)がその猛威を振るい始め、中国国内の人・物の流通は完全に停止状態に陥った。
これら経済状況は当然物流業界にも大きな影響を及ぼしており、各地域で設備投資先送り等が数多く発生している。このような中、競合環境も更に厳しさを増しており、今後の市場動向に対する大きな不安を拭い切れない状況が続いている。
■セグメント別業績
<国内事業>
国内事業は、海外市場の停滞により輸出が減少した影響もあり、売上高は1,790億4,400万円(前年度比2.5%減)となった。セグメント利益についても、セグメント間の内部売上高の減少、経費の増加等により、37億3,100万円(同18.6%減)となった。
なお、のれん等償却の影響を除くと、セグメント利益は84億4,800万円(同9.1%減)となっている。
<海外事業>
海外事業は、米州、欧州、中国、アジアのフォークリフト需要の減少があったものの、米州のEQD社の新規連結が寄与して、売上高は2,698億7,300万円(前年度比1.9%増)となった。セグメント利益については、米中貿易摩擦、関税問題等を背景に米国を中心に競合環境が悪化したことに加え、EQD社取得に伴う関連費用の発生及びのれん等償却費の増加もあり、47億500万円(同45.1%減)となった。
なお、のれん等償却の影響を除くと、セグメント利益は98億8,200万円(同22.1%減)となっている。
■今後の見通し
中国に端を発した新型コロナウイルス感染症が世界全域にその猛威を振るい続ける中、今後の世界経済はこれまでとは全く異なった様相を呈する形となりつつある。人及び物の流通を抑制することが感染を防ぐ唯一の手段とされた中で、経済活動は完全に停滞しており、その影響が長期化する懸念を払拭できない状況の中、次期の連結業績予想については、現時点において新型コロナウイルス感染症による今後の影響を合理的に算定することが困難であることから未定としている。業績予想の開示が可能となった時点で速やかに公表する。
三菱ロジスネクストは、現状の世界的危機の中で物流の果たすべき社会的役割はむしろ増大しているとの認識をしている。困難な状況下ではあるが、安全を最優先しつつも企業として行うべき事は粛々と進めることにより、統合シナジーの実現に加え、更なる業務効率化および市場の急減速への対応に全力で取り組むことにより、収益性の向上に鋭意努めていく。
決算説明会資料(2020年6月11日追加)
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