川崎重工業は6月10日、業界トップクラスの液化効率を有する国内メーカー製初の水素液化機の販売を開始すると発表した。
水素は、発電用燃料や燃料電池自動車(FCV)などで使用した際に温室効果ガスが発生しないクリーンなエネルギーとして、2030年頃には年間約30万トンの利用(※1)が見込まれている。川崎重工は、水素を効率よく貯蔵および輸送するための手段の一つとして、マイナス253度で液化することで体積が800分の1になる水素の性質に着目して液化技術の研究開発に取り組んできた。
今回販売する水素液化機は、今春まで実施した3,000時間以上の長期間にわたる連続実証運転や各種機能試験で性能と信頼性を実証した。主な特長は以下の通り。
・1日あたり5トンの液化水素(FCV1,000台相当の燃料)の製造が可能
・発電用ガスタービンや航空機用ジェットエンジンなどの高速回転機械の開発で培った技術を活用し、独自に開発した液化工程により、業界トップクラスの液化効率(※2)を達成
・水素の液化工程において不純物の混入を排除することにより、99.999%の高純度な液化水素(※3)の製造および容易なメンテナンス性を実現
・液化機の縦置き構造によるコンパクトな配置(耐震設計対応)を実現
・液化プラント起動時、24時間以内(※4)に液化運転が可能
また、川崎重工は液化した水素を貯蔵するための高断熱性能を有する貯蔵タンクや輸送コンテナなどの関連技術を多数保有しているため、水素液化機のみならず、水素液化プラントとしての設計・建設が可能です。将来的には、水素の普及量に合わせて水素液化機のラインナップを拡充する予定。
川崎重工は、持続可能な開発目標(SDGs)の観点からも水素エネルギーの普及を目指し、脱二酸化炭素を推進することで、世界の人々の豊かな生活と地球環境の未来に貢献する。
※1 2017年 再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議「水素基本戦略」より参照
※2 川崎重工調べ
※3 高純度化工程が不要で、気化するだけで燃料電池での使用が可能
※4 状況によっては、24時間以上かかる可能性がある
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