酒井重工業、2019年度売上は8.2%減の227億円、次期業績予想は見送り(更新)

 酒井重工業が5月13日に発表した2020年3月期(2019年度)連結業績によると、売上高は、国内販売が好調に推移したものの海外販売が減速し、前期比8.2%減の227億4千万円となった。利益面では、売上高の減少に伴い、営業利益は同32.2%減の9億5千万円、経常利益は同30.8%減の8億2千万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同43.0%減の4億7千万円となった。(数値表記は原文を尊重しています)

 2019年度の事業環境は、国内経済が安定的に推移する一方、海外経済は米中貿易摩擦の影響で減速基調を辿っていたが、第4四半期に勃発した新型コロナウイルスの感染拡大により、全世界的に社会経済活動が停止する非常事態に突入した。このような情勢の下で酒井重工業グループでは、海外事業と次世代事業による中長期成長戦略を着実に進めるとともに、この非常事態への対応を急いだ。

 酒井重工業2019年度データ

■連結地域区分別売上高

 国内向け売上高は、排ガス規制特需反動減の解消と国土強靭化緊急対策による活発な公共工事の結果、前期比20.1%増の132億5千万円となった。

 海外向け売上高は、アジア及び新興国における経済停滞に新型コロナウイルス問題が加わった結果、同30.9%減の94億9千万円となった。

 北米向け売上高は、第4四半期に入り需要が急減速した結果、同22.3%減の36億1千万円。アジア向け売上高は、需要底這いが続き、同41.1%減の47億円。中近東・ロシアCIS向け売上高は、需要停滞が続いたもののCIS向け政府開発援助案件が実現し、同4.6倍の5億8千万円。その他市場向け売上高は、中南米、オセアニア、アフリカともに需要停滞が続き、同39.7%減の5億7千万円となった。

 日本:国内販売が好調に推移し、海外販売とグループ内取引の減少をカバーした結果、総売上高は前期比3.6%減の189億円ながら、営業利益は同3.4倍の8億2千万円となった。

 海外:米国では、需要の急減速により総売上高は同23.3%減の36億4千万円、3千万円の営業損失となった。

 インドネシアでは、国内及び第三国向け販売停滞が続き総売上高は同46.1%減の35億6千万円、営業利益は同94.3%減の5千万円。中国では、北米向け輸出を縮小させる一方で国内市場開拓を進めた結果、総売上高は同35.3%減の10億8千万円、営業利益は2.9倍の1千万円となった。

■今後の見通し

 今後については、新型コロナウイルスの地球規模の感染拡大と長期化が、世界の社会と経済に大きな影響と様々な変容をもたらすものと予想している。

 国内では国土強靭化緊急対策に加え、新たな総合経済対策により6兆円相当の公共投資が上積みされているので、コロナ危機収束後は底堅い政府建設投資が期待される。海外では、中国で経済活動の再開とインフラ投資による経済刺激策が動き始めた。北米では行動制限の緩和が始まり、追加経済対策による政府建設投資の拡大が期待される。アジア及び新興諸国では底入れしつつあった経済情勢がコロナ危機で低迷を余儀なくされており、先行きを注視していく。また新たな技術面では世界的な行動様式の変化により、建設産業のデジタル化とリモート化が一気に加速するものと予想される。

 このような世界の大転換期の中で酒井重工業グループでは、変化を大前提とした事業経営と海外事業と次世代事業による中長期成長戦略を基本とし、急激な需要変化への対応強化、米中対立に伴う米国事業と中国事業の収益構造改革、アジア市場深耕と北米市場展開、新技術活用による次世代事業の開発、活力ある企業文化づくりなど、変化対応と成長戦略を積極的に推し進め、新たな事業環境における成長基盤を固めていく。

 なお、次期連結業績予想については、時々刻々と変化する新型コロナウイルスの影響を合理的に算定することが困難なため、現時点における公表を見送り、今後算定が可能になった時点で速やかに開示する。

 酒井重工業の2020年3月期決算短信

 決算説明資料

 決算説明会資料(6月9日追加)