日本精工、2019年度売上は16.2%減の8,310億円、20年度予想は未定

 日本精工が6月2日に発表した2020年3月期(2019年度)連結業績によると、売上高は8,310億34百万円と前期に比べて16.2%の減収となった。営業利益は236億4百万円(前期比△70.2%)、税引前利益は240億65百万円(同△69.6%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は174億12百万円と前期に比べて68.8%の減益となった。(数値表記は原文尊重)

■経営成績の概況

 日本精工グループは、「次の成長に向けた事業基盤の強化」を目標に、第6次中期経営計画(2019年度から2021年度)をスタートさせた。安全・品質・コンプライアンス・環境をグループのコアバリューとした上で、第5次中期経営計画(2016年度から2018年度)で据えた「オペレーショナル・エクセレンス(競争力の不断の追求)」と「イノベーションへのチャレンジ(あたらしい価値の創造)」の2つの方針を継続し、成長への新たな仕掛け、経営資源の強化、環境・社会への貢献の3つの経営課題に取り組んでいる。

 2019年度の世界経済は、米中貿易摩擦の影響や英国のEU離脱問題への懸念、中東情勢の緊迫化など先行きに不透明感が漂う中で低調に推移した。日本は主に中国向けの輸出が低迷し、米国では年度後半にかけて製造業を中心に景況感が悪化した。欧州は自動車産業を中心とした製造業の低迷により景気が減速した。中国は米中貿易摩擦の影響で外需及び内需が減少し、自動車市場の低迷も継続した。加えて年度終盤においては、新型コロナウイルスの感染が中国を中心に世界中に拡大し、各国の経済活動に大きな影響を与えるなど景気の先行きは一層不透明なものとなった。

 日本精工2019年度データ

■セグメント業績

<産業機械事業>

 産業機械事業は、米中貿易摩擦を背景にグローバルで設備投資に対する慎重な動きが続いたことや、スマートフォン及び自動車市場が低調に推移したこと、さらには新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により各地域で経済活動が停滞した影響により、対前期比で減収となった。

 地域別では、日本は工作機械向けを中心に需要が低迷した。米州ではアフターマーケット向けの販売は増加したが、電機向けの減少により減収となった。欧州は電機や一般産業機械向けの販売が減少し減収となった。中国では風力発電や鉄道向けの販売が伸びた一方で、電機及び工作機械向けの需要が低迷したため売上が減少した。その他アジアでは、韓国、台湾でアフターマーケット向けや工作機械向けを中心に減収となった。

 この結果、産業機械事業の売上高は2,324億70百万円(前期比△13.9%)、営業利益は141億2百万円(前期比△57.1%)となった。

<自動車事業>

 自動車事業は、中国や欧州を中心にグローバルで自動車市場が低迷したことに加え、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い自動車生産台数が減少するなど、事業環境は総じて厳しいものとなった。また、モデルチェンジの影響による電動パワーステアリング(EPS)の減少があり、対前期比で減収となった。

 地域別では、日本はオートマチックトランスミッション(AT)関連製品が主に中国自動車市場の減速影響を受けたことや、EPSの減少によって減収となった。米州ではAT関連製品が拡販により増加したが、EPSの減少により対前年比減収となった。欧州及び中国では低調な自動車市場が新型コロナウイルスの影響で更に悪化し、減収となった。特に中国の自動車販売台数は対前年割れが続いていることに加え、年度末にかけて経済が停滞するなど厳しい事業環境となった。その他アジアもインドなどで市場が低迷し、売上が減少した。

 この結果、自動車事業の売上高は5,738億14百万円(前期比△16.8%)、営業利益は98億4百万円(前期比△78.2%)となった。

■今後の見通し

 次期の業績見通しについては、新型コロナウイルス感染拡大の収束やその後の世界的な経済活動の回復時期を見通すことが非常に困難な状況であるため未定。今後、業績予想を合理的に算定することが可能となった時点で速やかに開示するとしている。

 日本精工の2020年3月期決算短信

 説明会資料(6月4日予定)