油研工業、2019年度売上は12.8%減の262億円、20年度予想は未定

 油研工業が5月29日に発表した2020年3月期(2019年度)連結業績によると、売上高は261億5千5百万円(前年同期比12.8%減)、営業利益は12億1千万円(同43.3%減)、経常利益は9億3千9百万円(同54.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は6億2千4百万円(同51.6%減)となった。(数値表記は原文尊重)

 油研工業2019年度データ

■経営成績の概況

 2019年度における世界経済は、米中貿易摩擦の長期化に伴い製造業を中心に減速基調が続いたことに加え、年度末にかけて全世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響により先行きが一層不透明な状況となっている。わが国経済においても、雇用・所得環境は改善傾向に推移していたものの、中国経済の減速や米中貿易摩擦の影響で中国向けを中心に外需が減少し、年明けからの新型コロナウイルス感染拡大により足元の経済は急激に悪化した。

 油研工業は、新型コロナウイルス感染拡大に対して、社員の健康と安全を最優先に、営業拠点を中心に可能な限りの在宅勤務や時差出勤を取り入れ、また生産拠点においても、三密を避けることに留意しつつ、生産能力の維持に努めた。

 同社は油圧機器の専業メーカーで、国内外で油圧機器を生産し、世界各国に提供している。海外では、香港、台湾、インド、韓国、上海、張家港(中国)、仏山(中国)、タイ、イギリスに子会社があり、各々の現地法人はそれぞれ独立した経営単位であり、各地域の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開している。報告セグメントは生産・販売体制を基礎とした所在地別のセグメントから構成されており、「日本」、「アジア」及び「ヨーロッパ」の3つを報告セグメントとしている。

 同社はまた、中長期の持続的な成長を目指す取組みとして、中期経営計画「3G Action2021 ~Challenge the Next Stage~ 」を2019年度からスタートさせた。即ち、この期間を次の10年に向けた更なる飛躍のための成長フェーズとして位置づけ、海外展開の着実な推進とグループ総合力を活かした生産力の強化に取り組んでいく。

 具体的には、①今後、旺盛な油圧需要の捕捉が期待できるインド、北米、東南アジア地域での拡販体制の確立と戦略製品の開発、②日本およびインド、台湾、中国の海外生産拠点の連携強化によるグローバルな最適生産体制の構築などを通じて、油研工業グループとしての競争力を一層強化し、環境変化の中でも利益成長できる油圧総合メーカーグループを目指していく。

■今後の見通し

 2021年3月期連結業績予想については、新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大したことにより、国内外の事業に多大な影響を及ぼすことが予想される。油研工業グループにおいても、インドなどで操業を停止するなど、事業活動に影響を受けているが、現時点において、新型コロナウイルス感染症の収束時期を見通し、油研工業グループの業績に与える影響を合理的に算出することは極めて困難であるため、次期の見通しは未定とし、算出が可能となった段階で速やかに公表する。

 油研工業の2020年3月期決算短信