・J形ガスタービンの信頼性は99.5%に達し、世界最高水準を確保
・世界で43基が商用運転中で、総発電容量は25GW以上
・最新鋭の空冷式JAC形の発電効率は世界最高水準の64%以上を実現、CO2排出量削減に貢献
三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は4月23日、世界の火力発電設備に納入したJ形ガスタービンの累計運転時間が100万時間を記録したと発表した。信頼性(注1)は世界最高水準の99.5%を確保しており、高信頼性と高効率の両面で新しい記録を達成し続けている。
J形ガスタービンは、2011年にMHPS実証発電設備(通称:T地点)にて実証運転を開始以来、日本や米国を中心にその高い信頼性と高効率、低環境負荷が高く評価され、世界中で採用されている。現在商業運転中の43基の総発電容量は2,500万kW(25GW)を超えており、MHPSの主力ガスタービンとして世界の電力安定供給に貢献している。
MHPS独自技術により開発されたJ形ガスタービンは蒸気冷却燃焼器を採用し、当時世界最高水準のタービン入口温度1,600℃を達成、排熱回収ボイラーおよび蒸気タービンを組み合わせたガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電効率62%を実現した。同ガスタービンを採用したGTCCは従来型石炭火力発電設備と比較して1系列あたり年間約300万トンのCO2排出量削減(東京都の約1.6倍の面積の森林が吸収するCO2の量に相当)に寄与する。
J形ガスタービンが99.5%の高い信頼性をもって100万時間の累計運転時間に到達したことを受け、MHPSの河相 健社長兼CEOは、次のように述べている。「J形ガスタービンが高い信頼性と高効率を両立し100万時間の累計運転時間に到達したことを誇りに思います。これはMHPSの品質重視の考えに基づき、お客様に製品を出荷する前に高砂工場内のJ形ガスタービンを採用したGTCC実証発電設備にて性能および信頼性を長期間にわたり確認、新開発技術の信頼性検証を行っているからです」。
このJ形ガスタービンをベースに、最新の空気冷却燃焼器システムを採用したJAC(J-Series Air-Cooled)形(注2)はGTCCとしての発電効率が64%に達する。2020年7月にはMHPS高砂工場内で実証設備複合サイクル発電所第2号発電設備(通称:第二T地点)の運用を開始する予定(注3)であり、ガスタービンの次世代技術の開発検証をさらに加速していくこととしている。また、CO2排出量のさらなる削減を目指して技術革新を進めており、米国ユタ州の協同組合向けに、再生可能エネルギー由来の水素を利用したJAC形GTCC発電設備を受注(注4)。2025年に30%の水素混焼で運転を開始し、将来的に水素燃料100%での運転を目指すプロジェクトが進行中。
MHPSは、今回J形ガスタービンが累計運転100万時間を突破したことをさらなる弾みとして、引き続き高い信頼性で環境にやさしいGTCC発電設備を供給することで、世界の電力安定供給と脱・低炭素社会の実現に向けて貢献していく。
(注1)累計運転期間のうち、定期点検など計画的停止以外で停止した期間(非計画的停止期間)を引いた割合を表す。
(注2)JAC形ガスタービンの特長については以下のウェブサイト参照。
・1600℃級J形技術を適用した高効率ガスタービンの開発
(注3)第二T地点での定格出力達成のプレスリリース(2020年4月2日発表)
・次世代1,650℃級JAC形ガスタービンの長期実証へ向けて高砂工場GTCC実証発電設備(第二T地点)が定格出力達成
(注4)米国ユタ州での再生可能エネルギー由来の水素を利用したGTCCプロジェクト受注時のプレスリリース(2020年3月12日発表)
・米国ユタ州で再生可能エネルギー由来の水素を利用したGTCC発電プロジェクト インターマウンテン電力(IPA)向けに84万kW級水素焚きJAC形設備を初受注
画像・上:T地点に輸送中のJ形ガスタービン
画像・下:M501JAC形ガスタービンローター
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