安川電機が4月10日に発表した2020年2月期連結業績によると、売上高は、前期比13.4%減の4,109億5,700万円、営業利益は同55.1%減の223億3,900万円、経常利益は同54。1%減の233億6,100万円、純利益は同64.9%減の144億4,900万円となった。
■経営成績等の概況
2019年度の安川電機グループの経営環境は、米中貿易摩擦の長期化による影響拡大などにより、グローバルで設備投資に慎重な姿勢が強まった。年の後半にかけては米州や韓国などアジアの一部で半導体関連需要の回復が見え始めたものの、期末に発生した新型コロナウイルスの影響もあり、総じて厳しい状況となった。
このような環境において安川電機グループの業績は、堅調だった前年同期に対しモーションコントール事業やロボット事業の売上高が減少した。営業利益は、売上減少や在庫調整の影響などにより操業度が悪化したことから減少した。
■地域別の経営環境
日 本: 自動車向けなど一部の市場が底堅く推移したものの、世界経済の減速を背景に、製造業を中心とした設備投資を抑制する動きが継続した。
米 国: オイル・ガス関連需要が上期に堅調な推移となったほか、下期には半導体市場の一部で回復の兆しがみられたが、工作機・自動車市場を中心に総じて需要は低迷した。
欧 州: 上期に大きく悪化した市況は下期にかけて底入れの兆しもみられたが、自動車関連を中心に製造業全般において設備投資は低調に推移した。
中 国: 米中貿易摩擦の長期化に伴う影響拡大により自動車市場を中心に市況が悪化した。下期には回復傾向がみられたものの、期末に発生した新型コロナウイルスの影響もあり、総じて厳しい状況となった。
中国除くアジア: 韓国を中心とした半導体関連の設備投資は、期末にかけて持ち直す動きがみられたものの、市場低迷による影響を大きく受け、需要は総じて弱含んだ。
■セグメント別
<モーションコントロールセグメント>
売上高は前期比16.6%減の1,778億9,300万円、営業利益は同91.0%増の187億800万円となった。
ACサーボモータ・コントローラ事業とインバータ事業で構成。インバータ事業の販売が米国を中心に上期には底堅く推移したものの、ACサーボモータ・コントローラ事業において需要低迷の影響を大きく受け売上がグローバルで減少したことから、セグメント全体では減収減益となった。
〔ACサーボモータ・コントローラ事業〕 半導体関連需要が期の後半にかけて回復傾向となっているものの、長期化する米中貿易摩擦の影響や期末に発生した新型コロナウイルスの影響により前年同期比で売上高は減少し、営業利益は操業度の悪化などにより減少した。
〔インバータ事業〕 米国におけるオイル・ガス関連需要が上期に堅調な推移となったほか、期末にかけて欧州で回復の兆しもみられたが、中国・アジアを中心に設備投資需要が停滞したことから、売上高・営業利益ともに前年同期に対し伸び悩んだ。
<ロボット>
売上高は前期比14.5%減の1,521億7,000万円、営業利益は同68.2%減の55億円となった・
セグメント全体の売上高は、米中貿易摩擦による影響や期末に発生した新型コロナウイルスの影響などにより、前年同期から減少した。溶接・塗装ロボットなど自動車関連向けの売上は、日本においては堅調に推移した一方、海外では市況悪化を背景とした設備投資抑制の影響を受け低迷した。一般産業分野では、中国を中心に自動化投資は勢いを欠く状況が継続した。なお、営業利益については、売上減少や在庫調整などにより操業度が悪化したため、前年同期から減少した。
<システムエンジニアリングセグメント>
売上高は前期比12.5%増の580億8,900万円、営業利益は1億7,400万円(前期は△2億7,500万円)となった。
環境・社会システム事業と、子会社である安川オートメーション・ドライブ株式会社が扱う産業用オートメーション・ドライブ事業で構成。
セグメント全体の売上高は新規連結の影響により伸長し、営業損益は構造改革などによって黒字に転換した。
〔環境・社会システム事業〕 環境エネルギー分野(太陽光発電・大型風力発電用電機品)の売上が伸び悩んだ一方、社会システム分野では国内における上下水道用電気システム関連の売上は底堅く推移した。
〔産業用オートメーション・ドライブ事業〕 鉄鋼プラント関連が堅調だったことに加え、新規連結による売上増加の影響もあり、事業全体としては伸長した。
■2021年2月期予想
通期連結業績予想については、新型コロナウイルスの感染拡大による顧客の設備投資の動向が不透明であり、通期業績を見通すことが困難な状況にあることから公表を見送った。
コメントを投稿するにはログインしてください。