竹内製作所、2020年2月期売上は5.2%増の1,159億円、過去最高を記録

 ㈱竹内製作所が4月9日に発表した2020年2月期(2019年3月~2020年2月)連結業績によると、売上高は過去最高となる1,159億1,300万円(前年度比5.2%増)となった。利益面については、拡販に向けて政策的な販売価格を設定したこと、製造原価及び運搬費が増加したこと、台風19号でサプライヤーが浸水被災し、代替部品による生産に切り替えたことに伴う対策コストが発生したこと、並びに前年度に計上されていた貸倒引当金の戻入が当年度は繰入となったこと等により、営業利益は126億4,900万円(同17.9%減)となり、経常利益は124億300万円(同20.0%減)となった。親会社株主に帰属する当期純利益は、税金費用を33億1,100万円計上したため、90億9,100万円(同20.2%減)となった。

 竹内製作所2020年2月期データ

■2020年2月期の経営成績概況

 主力市場である米国及び欧州の2020年2月期における経済は、概ね以下のとおり推移した。米国では、米中貿易摩擦の長期化が懸念される中、設備投資は弱含んだものの、雇用・所得環境が引き続き堅調で、住宅市場が勢いを取り戻すなど個人消費は好調を維持した。

 欧州では、米中貿易摩擦と英国のEU離脱問題の混迷により輸出が鈍化し、製造業の低迷が長期化した一方で、雇用・所得環境は依然として良好で、個人消費は底堅く推移した。こうした中、英国はEUから離脱を果たしたものの、依然として不透明な状況が続き、企業の投資マインドは年間を通じて縮小傾向にあったが、就業者数の増加と賃金上昇率の加速を追い風に、個人消費は堅調に拡大し、景気を下支えした。

 また、新型コロナウイルス感染症の全世界的な広がりとともに、経済活動にも日常生活にも大きく暗い影を落とし始めた。

 このような環境の中、2019年2月には欧州の第5次排出ガス規制に適合したミニショベルの新製品「TB235-2」及び「TB250-2」を市場投入し、また、北米向け製品のみに搭載されていたGPS機能が付いた情報通信機器を欧州向け製品にも搭載を開始するなど、より付加価値の高い製品ラインナップで積極的な販売活動を展開した。

 EU離脱問題の長期化による不透明感から英国での販売台数は前年度を下回り、天候不良と在庫不足の影響で米国での販売台数は微増に留まったが、英国を除く欧州での販売が総じて好調に推移したため、竹内製作所グループ全体としての販売台数は、前年度(2019年2月期)を上回った。

■セグメント別の経営成績

(日本) 日本セグメントは、売上高のほとんどが欧州ディストリビューター向けの販売で占められている。2018年3月に市場投入したミニショベル「TB225」が引き続き販売好調で、2019年2月に市場投入したミニショベル「TB235-2」及び「TB250-2」も好調に推移した。この結果、欧州ディストリビューター向けの販売台数が増加し、売上高は457億4,100万円(前年度比13.9%増)となった。セグメント利益は、拡販に向けて政策的な販売価格を設定したこと、子会社向けの製品販売価格を引き下げたこと、並びに製造原価及び運搬費が増加したこと等により、98億6,300万円(同15.3%減)となった。

(米国) 住宅工事、インフラ工事を中心に製品需要は高い水準で推移した。天候不良の影響で上期において先延ばしとなった製品販売は、下期で盛り返したが、買入部品の調達制限により米国セグメント向けの製品出荷を制限したことが影響し、販売台数は微増に留まりました。この結果、プロダクトミックスの変化等により、売上高は532億2,300万円(前年度比5.0%増)となり、セグメント利益は日本セグメントからの製品仕入価格の値下げ等により、35億6,900万円(同30.7%増)となった。

(英国) 英国内の住宅工事やインフラ工事は旺盛なものの、EU離脱問題の長期化を背景に景気停滞感が強まる状況の中、顧客が製品購入に慎重になったため、販売台数が減少した。この結果、売上高は101億7,400万円(前年度比16.5%減)となり、セグメント利益は5億5,100万円(同8.6%減)となった。

(フランス) 2018年3月に市場投入したミニショベル「TB225」が引き続き好調で、販売台数は増加したが、円高でユーロ建て売上の円換算額が減少したことにより、売上高は65億4,700万円(前年度比1.0%減)となった。セグメント利益は日本セグメントからの製品仕入価格の値下げ等により、3億2,600万円(同37.8%増)となった。

(中国) 販売台数が減少したこと等により、売上高は2億2,600万円(前年度比56.5%減)となった。セグメント利益は、前連結会計年度に計上されていた貸倒引当金の戻入が当連結会計年度は繰入となったこと、及び日本セグメントへの部品供給が減少したこと等により、4,600万円(同89.0%減)となった。

■今後の見通し:5月下旬ごろからの新型コロナ収束が前提

 2021年2月期の連結業績予想は、欧米地域における新型コロナウイルスの感染拡大が、2020年5月下旬ごろから徐々に収束へと向かうことを前提としている。

 竹内製作所グループの主力販売市場は米国及び欧州であり、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化する前の販売予想は、概ね次のように見込んでいた。

 米国においては、良好な雇用・所得環境を背景とした個人消費と住宅市場の拡大、及び米中貿易摩擦の緩和による企業の投資マインドの回復が期待され、2020年2月期を上回る販売台数を見込んでいた。欧州においては、住宅工事やインフラ工事は堅調さを維持すると予想するものの、EU離脱後の通商交渉が難航すると予想される英国はもとより、その他の欧州主要国もマクロ経済の減速感が強まっていることから、2020年2月期を下回る販売台数を見込んでいた。この結果、竹内製作所グループ全体の販売台数は、2020年2月期並みになると見込んでいた。

 ところが、事態は深刻化し、経済活動が世界規模で大幅に制限されていることを受け、竹内製作所グループ全体の販売台数は、2020年2月期と比べ、20%減少するとの予想へと変更せざるを得なくなった。

 この結果、販売台数の減少が大きく響き、次期の売上高は935億円(前年度比19.3%減)となる見込み。利益面については、値上げによる増益を見込んだものの、売上高の減少、減産に伴う固定費率の上昇、及び主要通貨の前提為替レートを総じて円高に設定したこと等により、営業利益は84億円(同33.6%減)、経常利益は84億5,000円(同31.9%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は61億5,000万円(同32.4%減)となる見込み。

 なお、1株当たり配当金の予想を未定としている。新型コロナウイルス感染症が竹内製作所グループの連結業績に与える影響を見極めつつ、2020年10月公表予定の第2四半期決算短信を目処に開示の予定。

 竹内製作所の2020年2月期決算短信

 決算説明資料