住友重機械エンバイロメント、トータルケア・システム、凸版印刷の3社が使用済紙おむつのリサイクルで協業開始

 住友重機械工業100%出資会社、住友重機械エンバイロメント(本社:東京都品川区)、トータルケア・システム(本社:福岡市)、凸版印刷の3社は4月7日、年々増加傾向にあり社会問題化している使用済紙おむつの廃棄物が増加する問題に対して、使用済紙おむつをリサイクルする「完結型マテリアルリサイクルシステム」の構築とその後の事業展開に関する協議を開始することに合意したと発表した。3社は、2020年3月より多くの自治体に導入可能な使用済紙おむつリサイクルシステム事業モデルの検討を開始し、2022年度以降の事業化および自治体採用を目指す。

 「完結型マテリアルリサイクルシステム」は、使用済紙おむつから回収できるすべての再生資源をマテリアルリサイクルするシステム。トータルケア・システムではリサイクル処理後の再生パルプを、建築資材の原料(外壁材、内装材等)として有効利用している。また、プラスチックは燃料としてサーマルリサイクルしていましたが、経済産業省の補助事業(サポイン)を活用し、再資源化の研究開発が進んでいる。

 今回、さらに多くの自治体への使用済紙おむつリサイクルの普及促進のため、下水処理や民間排水処理などの水処理施設を主体にプラント設計・施工から運転管理まで幅広く手掛ける住友重機械エンバイロメントがプラント設計および施工を担い、再生資源の活用技術を持つ凸版印刷が介護・保育・医療向けをはじめとしたさまざまな製品へのアップサイクルを担う本協業の枠組みの検討を開始する。この3社の協業により、使用済紙おむつの分別回収・水溶化処理・再生資源の活用まで、リサイクルシステム全体を構築することが可能となる。

 近年の日本の高齢化および要介護者の増加により、紙おむつの生産量・使用量が増加傾向にあり、それに伴って使用済紙おむつの廃棄に関わる自治体負担が大きな社会問題となっている。使用済紙おむつは一般廃棄物排出総量の約4%以上を占めると言われており、さらに今後増加が見込まれている。また、水分を多く含んで重くなり、焼却処理を行う際の発熱量は可燃ごみの3分の1程度で生ごみと同等であるため、焼却しづらいという課題がある。今後さらに可燃ごみに占める割合が増加すると焼却炉では助燃材の使用量も増加し、焼却コストやCO2排出量が増加する可能性がある。

 こうしたなか環境省は、使用済紙おむつの焼却に代わる処理方法として、自治体等を対象に「使用済紙おむつ再生利用等に関するガイドライン」を3月31日に発表した。

 3社は、今後さらに増加が見込まれ深刻化が予想される使用済紙おむつ処理問題に対応するため、「完結型マテリアルリサイクルシステム」の構築と事業化の検討を開始する。

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