日立建機、稼働音・測定データから建設機械の状態を診断するスマホ診断アプリ「ConSite® Health Check」を提供開始

・エンジン、油圧ポンプの診断を通じ、ライフサイクルコスト低減に寄与

 日立建機は3月23日、顧客の課題であるライフサイクルコストを低減するサービスソリューション「ConSite®(コンサイト)」の新たなソリューションとして、サービス員が、スマートフォンを用いて、短時間で建設機械の状態を診断するアプリ「ConSite® Health Check(コンサイト・ヘルス・チェック)」を開発したと発表した。建設機械の稼働音・測定データから建設機械を診断して、状態を判定できるアプリは建設機械業界で初めて*¹。

 まずは2020年3月より、インドネシアや中東、アフリカ地域にある販売代理店のサービス員向けに提供を開始し、順次、グローバル市場に向けて本格的に展開していく。

 「ConSite® Health Check」は、スマートフォンを用いて、①建設機械のエンジン内部にある燃料インジェクタと、②油圧ポンプの状態を、「A 正常」、「B 要経過観察」、「C 修理検討」、「D 要修理」の4つのランクに分けて診断する機能があり、順次、診断できる部位を増やしていく予定。

 従来、燃料インジェクタや油圧ポンプの状態診断には、人間が微小な建設機械の異常音を聞き分けたり、労力と時間がかかる大がかりな設備を用いた試験や分解調査が必要で、長年の訓練と経験が必要だった。また、日立建機では、従来よりパソコンを専用ケーブルで建設機械と接続して、測定データを表示するサービスツールを活用しているが、人間が測定データに基づいて建設機械の状態を判断する必要があった。

 今回、提供を開始する「ConSite® Health Check」は、人間より高い精度で、燃料インジェクタや油圧ポンプの状態を半自動で診断し、状態を判定することができるため、今まではできなかった定量的なデータ分析による判定結果という根拠に基づいた修理計画を顧客に提案することができる。

 燃料インジェクタや油圧ポンプの状態を短時間で診断することで、建設機械が止まるような大きな故障が起きる前に、内部の性能低下など建設機械の「健康診断」をすることができるため、ダウンタイムコストやメンテナンスコストの低減につながり、顧客の課題である「ライフサイクルコスト低減」に寄与する。

 近年、油圧ショベルやホイールローダなどの建設機械は、排出ガス規制への適応や、操作性の向上、燃費低減の追求により、制御技術が高度化し、必要とされる修理やメンテナンス技術の難易度も上がっている。また、生産労働人口の減少、熟練技能者の高齢化が進み、将来、熟練サービス員の不足も予測される。このような状況の中、顧客に高品質なサービスを提供し続けるためには、ICTやAIを活用して建設機械の状態を定量的なデータで見える化し、保守・点検業務の効率化と品質の維持向上が求められている。

 日立建機は、日立グループから横断的に、ICTやAI活用による情報データ分析の知見に富んだ技術者を集め、2017年に専任組織である「ConSite開発部」を設立した。長年の建設機械の保守・点検業務による知見と、日立グループの最先端の情報データ分析技術を活用した「ConSite®」は、遠隔監視で建設機械を見守るサービスソリューションとして、日立グループの「Lumada*²®」にも登録されている。

 「ConSite® Health Check」における、AIを活用して機械の微小な異常音を検出、判定する技術や建設機械の機械的な特長から状態を診断する技術は、㈱日立製作所 研究開発グループと日立建機が共同で開発したもので、日立グループのシナジーを活かした新たなサービスメニュー。

 日立建機は、「ConSite® Health Check」導入により、より効率的で適正なサービスを提供し、顧客の課題である「ライフサイクルコスト低減」に寄与していく。

*1: 2020年3月23日時点 日立建機調べ。

*2:Lumadaは、顧客のデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション/サービス/テクノロジーの総称。https://www.hitachi.co.jp/products/it/lumada/about/index.html

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