・ノロウイルスワクチンなどの研究開発加速
・欧州での第I相臨床試験を申請
デンカ(本社:東京都中央区)は3月12日、グループ会社であるIcon Genetics GmbH(アイコン社)が、ヘルスケア事業強化の一環として、新施設建設のための用地取得に関し、ドイツザクセン=アンハルト州ハレ市と2020年3月11日付(現地時間)で契約を締結したと発表した。
現在、デンカグループではアイコン社を中心に同社の技術プラットフォーム「magnICON®(マグニコン)」を用いてノロウイルスワクチンや検査試薬に使われる原料等の研究開発を進めており、ノロウイルスワクチンについては、欧州での第I相臨床試験の治験届を 2 月に提出した。これらの研究開発の進展に伴い、施設の増強が必要なことから、アイコン社近傍のハレ市 Weinberg Campus(ヴァインウェルグ キャンパス)技術団地に約5万m²の用地を取得し、研究開発、製造等の中核拠点となる施設を建設する。
デンカグループは経営計画「Denka Value-Up」においてヘルスケア事業を重点3分野のひとつと位置づけ経営資源の集中を図っている。今回の投資によりアイコン社の新規事業・製品開発を加速させ、感染力が強く、有効な予防法や治療方法が確立されていないノロウィルス感染症のワクチ ン早期実用化など社会課題の解決を目指していく。
※magnICON は、アイコン社の登録商標。
<アイコン社の概要>
名称:Icon Genetics GmbH
代表者の役職・氏名:CEO 蛭田和幸
事業内容:バイオ医薬品の研究開発、研究受託、サービスの提供
資本金:25 千ユーロ
設立年:1999 年
株主構成:デンカ(株)100%
<magnICON®について>
magnICON は植物を利用した遺伝子組換え技術の一つ。目的の遺伝子を運ぶ役割のベクター(※)に、タンパクを産生する遺伝子を挿入し、アグロバクテリウム(植物に感染するバクテリア)に導入する。このアグロバクテリウムを培養して増殖させ、栽培した植物をアグロバクテリウム溶液に浸漬・感染させた後、栽培して目的のタンパク質を産生®する。magnICON では、タンパクを産生する遺伝子をベクターに取り入れることでタンパク質の産生能力を向上している。
※ ベクター:発現したい目的タンパク質の遺伝子を宿主細胞に運ぶことができる入れ物のこと。