日立建機、油圧ショベルとの接触事故低減に寄与するオプションを発売

・周囲環境視認装置「Aerial Angle®」に物体検知および動作制限の機能を拡充

 日立建機は3月2日、「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律(オフロード法)」2014年基準に適合した、10~20tクラスの中型油圧ショベル5機種*1のオプションとして、機体と障害物の接触事故低減に寄与する「Aerial Angle®(エアリアルアングル) STEPⅢ 『物体検知+動作制限システム』(以下、Aerial Angle® STEPⅢ)を日本国内向けに2020年6月より発売すると発表した。

 標準小売価格は270万円(税抜き)、販売目標は年間200セットを見込んでいる。

 厚生労働省の統計によれば、建設業での労働災害事故件数は、全産業の約3割*2を占めており、建設・土木業界において「安全性向上」は最大の課題となっている。建設機械による労働災害事例のうち、油圧ショベルを使用中の事故が約半数であり、なかでも、油圧ショベルの動き始めにおける接触事故が最も多くなっている*3。

 日立建機はこれまでも施工現場の安全性向上に取り組んでおり、2018年10月には、機械を中心に上空から見下ろしたような映像を運転席内のモニターに表示し、操作開始前に機体周辺の移動体を検知する「Aerial Angle® STEPⅠ 『周囲環境視認装置』」 を油圧ショベルに標準搭載した。2019年5月には、機体周辺の物体や反射材を常時検知可能な「Aerial Angle® STEPⅡ 『物体検知システム』」をオプション発売している。

 今回発売する「Aerial Angle® STEPⅢ」は、油圧ショベルの動き始めにおける接触事故を低減するため、機体周辺で検知した物体の位置や機体の動作状況に応じて、エンジン回転数を低減し、走行・旋回動作を抑止する機能を追加した*4。機体の操作開始前に周辺の物体(人や障害物)を検知した場合は、レバー操作をしても走行・旋回動作が行われず、油圧ショベルの動き始めの接触事故を低減する。油圧ショベルの走行・旋回動作中に物体を検知した場合、エンジン回転数の低減やモニター上の警告とブザー音により、オペレータに注意喚起し、操作の停止を促す。さらに、機体の状態や機体周辺の物体検知情報を、外部ブザーや回転灯で周囲の作業者にも注意喚起することで、接触事故の低減に寄与する。

 なお、日立建機は、「Aerial Angle® STEPⅢ」を「第3回建設・測量生産性向上展『CSPI-EXPO2020』(2020年4月22日(水)~24日(金)、場所:千葉県・幕張メッセ)」に出展する。

*1: ZX120-6、ZX135US-6、ZX200-6、ZX225US-6、ZX225USR-6

*2: 2019年5月17日公表「平成30年労働災害発生状況の分析等」

*3: 厚生労働省「職場のあんぜんサイト」内「労働災害事例」より、建設機械等に起因する災害事例(236件)を、独自分析したもの(2020年3月2日現在)。

*4:検知エリアに人や障害物が入った場合に、ブレーキにより機械を自動停止する機能ではない。作業中に機械を自動停止することによって発生する、機械の転倒や土砂などの落下による二次被害を考慮している。

 詳細は、ニュースリリース