日本産業機械工業会は2月28日、2019年度及び2020年度の受注見通しを発表した。
2019年度のわが国経済は、海外経済の停滞で輸出や生産が伸び悩み、さらに10月の消費税の増税や大型台風等の影響もあって、回復の勢いが鈍化している。そのような情勢の下、2019年度と2020年度の産業機械(同工業会取扱い)の受注見通しを以下の通り策定した。
なお、新型肺炎の感染拡大等の不確定要素が存在しており、この見通しにその影響は織り込んでいない。
■2019年度:内外総合は前年度比94.5%の4兆9,409億円の見込み
内需は、非製造業が増加するものの、製造業と官公需が減少していることから、対前
年度比99.3%の3兆2,706億円と見込んだ。
民需のうち製造業については、前年度に大型投資が続いた化学工業や石油製品での反
動減に加え、輸出が低調なはん用・生産用機械、電気機械、情報通信機械の減少の他、
自動車も落ち込んでいることから、前年度実績を下回るものと見込んだ。
非製造業については、電力業からの火力発電設備の更新需要の増加に加えて、運輸業
や卸売・小売業からの物流機器の需要増により、前年度実績を上回るものと見込んだ。
官公需については、環境装置の水質汚濁防止装置やごみ処理装置の減少により、前年
度実績を下回るものと見込んだ。
外需は、アジア、中東、北アメリカ、アフリカ、ロシア・東欧が減少し、特に中国が
落ち込んでいることから、対前年度比86.4%の1兆6,703億円と見込んだ。機種別ではボイラ・原動機が発電プラントの受注もあって増加しているものの、化学機械が天然ガス関連の大型案件の減少から前年度を下回り、金属加工機械(製鉄機械)では世界的な鉄鋼需要の伸び鈍化を背景に減少し、プラスチック加工機械や運搬機械では自動車や半導体産業からの受注が減少している。
この結果、内外総合では、対前年度比94.5%の4兆9,409億円と見込んだ。
■2020年度:内外総合は前年度比104.5%の5兆1,613億円の見通し
内需は、民間設備投資の年度後半からの緩やかな回復と官公需の持ち直しにより、対
前年度比104.2%の3兆4,075億円と見込んだ。
民需については、5G(第5世代移動通信システム)などデジタルテクノロジーの進
展や、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)への対応など、電
機・電子や自動車を始めとする加工産業やその川上にある素材産業では、より付加価値
の高い製品が求められることから、生産ラインの強化など先延ばしになっていた設備投
資が緩やかに回復していくものと見込んだ。また、物流倉庫などの自動化・省力化投資
や、工場の省エネルギー化投資も緩やかに回復していくものと見込んだ。
なお、電力向けの火力発電設備については受注環境の厳しい状況が続くものの、バイ
オマス発電の需要は高水準を維持していくものと見込んだ。
官公需については、自然災害に対する防災・減災など、国土強靱化に関する需要の増加に加え、水質汚濁防止装置やごみ処理装置の更新需要が増加するものと見込んだ。
外需は、米中貿易摩擦の影響などで前年度に落ち込んだことから、対前年度比105.0%の1兆7,538億円とプラスを見込むものの、2018年度の水準までは回復しないものと思われる。
オイル&ガス分野については、天然ガス関連の投資計画が進展するとみられることから、化学機械、ポンプ、圧縮機等の需要が増加していくものと見込んだ。
また、環境意識が高まる中、世界共通の課題である温室効果ガスの削減に貢献する産業機械業界の優れた省エネ・低炭素型製品や環境対応技術のニーズは拡大していくものと見込んだ。
さらに、ハイテク分野が5G(第5世代移動通信システム)等をけん引役に回復していくことで、IT関連財から産業機械へ需要拡大の波が広がるものと見込んだ。
この結果、内外総合では、対前年度比104.5%の5兆1,613億円と見込んだ。
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