ソディック、2019年12月期売上は18.3%減の675億円、2020年見通しは678億円

 ㈱ソディックが2月14日に発表した2019年12月期(2019年1~12月)の業績は、売上高675億9,100万円(前年同期比18.3%減)、営業利益34億2,200万円(同65.4%減)、経常利益35億5,800万円(同63.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は20億200万円(同69.0%減)となった。

■経営成績等の概況

 2019年度の世界経済は、中国では米国との貿易摩擦の影響により輸出の減少や設備投資が慎重化するなど成長が鈍化し、米国では個人消費は堅調に推移したものの設備投資などは減速したほか、欧州でも英国のEU離脱問題の混迷やドイツ経済の不振等もあり製造業を中心に景気減速が継続した。また、日本では海外経済の減速や輸出の低迷を背景に景気に足踏み感が見られ、製造業では調整局面が続いた。このような事業環境の中、ソディックグループは、長期経営計画「Next Stage 2026 ~Toward Further Growth~」を掲げ、「創造」「実行」「苦労・克服」という創業精神を基盤に豊かな未来につながる技術を磨き、ものづくりを通して持続可能な社会の実現にチャレンジしている。

 研究開発では、近年自動車関連を中心に需要が拡大している大型でより複雑な金型加工のニーズに対応した形彫り放電加工機「AG200L」、食品の原材料の温度調整の適正化及び品質安定化に対応した「粉体冷却装置」をはじめ、市場のニーズに対応した新製品の技術開発を行った。なお、形彫り放電加工機「AG200L」は、日刊工業新聞社主催の「2019年(第62回)十大新製品賞モノづくり賞」を受賞している。

 営業活動では、中国国際工作機械展覧会「CIMT2019」(中国・北京、4月)、国際食品工業展「FOOMA2019」(日本・東京、7月)、欧州国際工作機械見本市「EMO2019」(ドイツ・ハノーバー、9月)、工作機械展示会「MECT2019」(日本・名古屋、10月)等の世界的な国際見本市をはじめ多数の展示会にて積極的に出展し、ソディックブランドの浸透と拡販に努めた。

 また、アジア地域における最先端のものづくりをサポートすることを目的に、シンガポールにテクノセンターを設立したほか、中国上海市に食品機械の販売会社を設立し、営業体制の強化を図った。

 ソディック2019年12月期データ

■セグメント別の状況

<工作機械事業>

 売上高 457億9,700万円 (前年同期比 21.9%減 )、営業利益 46億2,100万円 (同 5,367百万円減 )。北米の航空宇宙及び医療機器関連は底堅い需要が継続したが、ソディックの最大市場である中国をはじめ全世界的に、長引く米中貿易摩擦の影響等により景気が減速し、自動車やスマートフォン、電子部品など幅広い産業で設備投資を先送りする傾向が強く見られた結果、放電加工機の販売台数が大幅に減少した。

 セグメント利益も販売台数の減少に伴う工場稼働率の低下や固定費の増加等により前年同期比で大幅に減少した。

<産業機械事業>

 売上高 97億7,300万円 (前年同期比 12.4%減 )、営業利益 1億6,500万円 (同 6億3,700万円減 )。米中貿易摩擦による国内外の設備投資の先送りの傾向が見られたほか、スマートフォン及び電子部品関連の需要は日本や中国及びアジア地域で依然として一服感が見られた結果、販売台数が減少した。

 一方で足元では国内の自動車関連の需要が見られたほか、光学レンズの成形、5G対応に向けたインフラ整備に関する需要が出始めた。

<食品機械事業>

 売上高 62億8,300万円 (前年同期比 4.2%減 )、営業利益 6億2,500万円 (同 4,800万円減 )。各種製麺機、麺製造プラント、無菌包装米飯製造装置などの開発・製造・販売、その保守サービスを行っている。高品質な調理麺の製造設備需要が引き続き堅調に推移したほか、無菌包装米飯製造装置の需要も国内外で増加したほか、衛生面や省人化を目的とした自動化設備の需要も拡大したが、世界経済の減速による設備投資の先送りの動きもあり、結果として2019年度の売上は前年同期比で若干減少となった。

<その他>

 売上高 57億3,700万円 (前年同期比 10.3%減 )、営業利益 3億1,100万円 (同 7億1,800万円減 )。精密コネクタなどの受託生産を行う精密金型・精密成形事業、リニアモータやセラミックス部材の販売等を行う要素技術事業から構成されている。

 精密金型・精密成形事業は足元で需要は回復傾向ではあるものの、セラミックスの需要の減速に伴い要素技術事業の販売は伸び悩んだ。また、中長期的な事業拡大に向けた製造設備の能力増強や自動化対応のための研究開発投資が先行したこともあり収益性は回復していない状況が続いている。

■今後の見通し

 今後の見通しについては、中長期的にはグローバルにものづくりが発展していく中で、設備投資需要は継続的に拡大していくものと見ている。その中でも、ソディックの主要な仕向け先である自動車産業では、「CASE(Connected、Autonomous、Shared/Service、Electric)」や「MaaS (Mobility as a Service)」の対応に伴い自動車の軽量化・電装化ニーズが一層高まっている。加えて、AIやIoTの進展と次世代通信規格である「5G」の普及に向けたシステム高度化に伴う設備投資の動きもあり、高精度機の設備投資需要はさらに高まっていくことが予想される。

 しかし、米中貿易摩擦の長期化、英国のEU離脱問題、中東情勢の緊迫化、新型肺炎の感染拡大、東京オリンピック・パラリンピック開催後の日本経済の減速が憂慮される等、依然として先行き不透明な状況が続くものと思われる。このような環境の中、次期のセグメント別の見通しは以下のとおり。

<工作機械事業 / 産業機械事業>

 ソディックの最大の市場である中国を中心として自動車関連をはじめ他分野においても、ものづくりの高度化による高精度機の潜在的な需要はあるが、米中貿易摩擦の長期化による海外経済の減速により設備投資需要は、依然として低調に推移する見通し。

<食品機械事業>

 国内外での高品質な麺の製造設備の需要のほか、包装米飯製造システムや自動化対応設備などの需要拡大を見込んでいる。特に需要の拡大が見込まれる中国において、2019年7月に中国・上海市に販売会社「蘇比克富夢(上海)貿易有限公司」を設立した。ソディックの強みである茹麺自動化ラインのシェア確保に向け、中国国内の営業力、オペレーション及びサービス体制を強化していく。

<その他>

 精密金型・精密成形事業では自動車関連向け、セラミックスの外販は、半導体関連向けに需要が回復する見通し。中長期的な事業拡大に向けて精密金型・精密成形事業では自動化・省人化に向けた生産設備の能力増強に努めている。

 2020年12月期のソディックグループの業績は、売上高678億円(前期比0.3%増)、営業利益38億円(前期比11.0%増)、経常利益38億円(前期比6.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益31億円(前期比54.8%増)と予想している。

 なお、想定為替レートは、対米ドル期中平均レート106円、対ユーロ期中平均レートは118円。

 ソディックの2019年12月期決算短信

 2019年12月期決算説明会資料