㈱クボタが2月14日に発表した2019年12月期(2019年1~12月)連結業績によると、売上高は前期比697 億円(3.8%)増加して1 兆9,200 億円となった。
国内売上高は官公需関連を中心とする水・環境部門が環境関連製品の大幅増やダクタイル鉄管の伸長などにより増加したほか、機械部門も農業機械やエンジンなどが堅調に推移したため、前期比480 億円(8.3%)増の6,254 億円となった。
海外売上高は円高や天候不順の影響はあったが、米国での緩やかな景気拡大を背景にトラクタや建設機械が伸長したため、前期比217 億円(1.7%)増の1 兆2,947 億円となった。2019年12月期の海外売上高比率は前期比1.4 ポイント低下して67.4%となった。
営業利益は固定費の増加や円高の影響はあったが、国内外での増販や値上げ効果、米国での金利低下に伴う販売促進費の減少などで補い、前期比123 億円(6.5%)増の2,017 億円となった。税引前利益は営業利益の増加により、前期比118 億円(6.0%)増加して2,090 億円となった。
法人所得税は530 億円の負担、持分法による投資損益は31 億円の利益となり、当期利益は前期比89 億円(6.0%)増の1,591 億円となった。親会社の所有者に帰属する当期利益は前期を105 億円(7.6%)上回る1,491 億円となった。
■部門別の概況
<機械部門>
同部門は農業機械及び農業関連商品、エンジン、建設機械により構成。売上高は前期比2.9%増加して1 兆5,726 億円となり、売上高全体の81.9%を占めた。
国内売上高は前期比3.8%増の3,206 億円。農業機械やエンジンが増加したほか、台風の影響により生産・出荷の遅れが発生した建設機械についても前期を上回った。
海外売上高は前期比2.7%増の1 兆2,520 億円。北米では、需要が堅調に推移したほか、2018 年の台風の影響により一部製品の出荷時期が2018年から2019年にずれ込んだことや建設機械の新機種投入効果などにより、建設機械及びトラクタが大幅に増加した。
欧州では、ユーロやポンドに対する円高の影響により減収となった。現地通貨ベースでは、Brexit による景気悪化懸念を背景とした英国での建設機械需要の低迷や、エンジン排ガス規制強化に伴う2018年の駆け込み需要の反動はあったが、ドイツやフランスではトラクタ及び建設機械が好調に推移したため、前期並みの売上となった。
アジアでは、タイの農業機械や建設機械が増加したものの、中国のコンバインや建設機械が低迷したことにより、アジア全体では前期を下回る売上となった。その他の地域では、干ばつや景気悪化によりオーストラリアの建設機械やトラクタが減少した。
セグメント利益は固定費の増加や円高の影響はあったが、国内外での増販や値上げ効果、米国での金利低下に伴う販売促進費の減少などで補い、前期比1.8%増加して2,045 億円となった。
<水・環境部門>
同部門はパイプインフラ関連製品(ダクタイル鉄管、合成管、バルブ、素形材、スパイラル鋼管等)、環境関連製品(各種環境プラント、ポンプ等)により構成。売上高は前期比8.0%増加して3,157 億円となり、売上高全体の16.4%を占めた。
国内売上高は前期比14.7%増の2,735 億円となった。パイプインフラ関連製品はダクタイル鉄管や工事事業が伸長した。環境関連製品は福島県双葉町での廃棄物処理施設建設の売上により大幅に増加した。
海外売上高は中東向けのダクタイル鉄管や中国の浄化槽などが減少したため前期比21.6%減の423 億円となった。
セグメント利益は国内での大幅な増収などにより、前期比34.5%増加して267 億円となった。
<その他部門>
同部門は各種サービス事業などにより構成。売上高は前期比4.1%増の316 億円となり、売上高全体の1.7%を占めた。セグメント利益は前期比20.2%増加して36 億円となった。
■次期の見通し
2020年12月期の売上高は前期比300 億円増の1 兆9,500 億円を見込んでいる。国内市場では、環境関連製品の減少により水・環境部門が減収となるものの、機械部門の増収が予想されるため、国内売上は増加する見通し。海外市場では、機械部門が北米やアジアでの増収を見込んでいるほか、水環境部門も増収となるため、海外売上は増加する見通し。
営業利益は国内外での増販効果はあるものの、台風19 号に起因する減産に伴う生産工場の損益悪化や円高の影響などにより、2019年比17 億円減の2,000 億円となる見込み。また、税引前利益は当期比20 億円減の2,070 億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は2019年比11 億円減の1,480 億円を予想している。
なお、新型肺炎の感染拡大による業績への影響については、想定が困難なため業績予想には反映していない。
業績見通しにおける想定為替レートは、1 米ドル=108 円、1 ユーロ=120 円としている。
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