アマダ、2019年4~12月期売上収益は3.1%減の2,284億円

 アマダホールディング(HD)が2月7日に発表した2020年3月期第3四半期連結累計期間(2019年4~12月)の経営成績によると、受注高は2,332億6,800万円(前年同期比6.0%減)、売上収益は2,283億5,400万円(同3.1%減)となった。国内での売上収益は997億1,800万円(同0.9%増)、海外での売上収益は1,286億3,600万円(同6.1%減)となった。

 損益面については、新商品拡販や製造合理化の推進による増益効果はあったものの、米ドルやユーロ等の円高や減収の影響により、営業利益250億4,400万円(同16.8%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益178億9,800万円(同17.0%減)となった。

 なお、同社は、第1四半期連結会計期間において企業結合に係る暫定的な会計処理を確定し、暫定的に測定された公正価値の修正を行ったため、前年度及び前第3四半期連結累計期間の財務数値を修正している。これに伴い、遡及修正後の数値で前期比較を行っている。

■経営成績に関する説明

 2019年4~12月期における世界経済は、米中貿易摩擦等の影響により景気の先行きに不透明感が強まり、米国では底堅い経済成長が見られるものの、中国のほか韓国などアジアの一部周辺国にも影響が波及したことで経済成長に鈍化が見られ、製造業をはじめとする設備投資にも減速感が見られた。欧州でもBrexitによる経済の先行き不透明感やドイツの景気低迷から製造業の景況感が悪化した。そのような中、我が国経済は設備投資の一部で慎重化が見られたものの、概ね堅調に推移した。

 このような経営環境のもと、アマダグループでは2021年度を最終年度とする中期経営計画「Task321」を策定しており、その達成に向けて邁進している。この「Task321」の実現に向けて、積極的な戦略投資を実施し、販売ネットワークの拡大や新たなビジネスモデルの確立による成長戦略の実行、開発・製造一体となったモノづくり改革の推進やIoTを活用したサプライチェーン・マネジメント(SCM)構築による、さらなる収益性と効率性の向上を目指している。併せてバランスシート改革による資本生産性の向上にも取り組んでいる。

 アマダ2019年4~12月期データ

■事業別の概況

<金属加工機械事業>

 金属加工機械事業においては、受注高は1,867億8,800万円(前年同期比7.3%減)、売上収益は1,812億7,600万円(同4.5%減)、営業利益は192億1,200万円(同17.7%減)となった。板金部門では、国内や北米においては戦略商品であるENSISシリーズをはじめとするファイバーレーザマシンの販売が好調に推移したことで増収となったが、欧州や中国、その他のアジアで設備投資に鈍化が見られたことで、売上収益は1,586億3,200万円(同5.6%減)となった。微細溶接部門では、欧州において車載電池向けのレーザ溶接システム関連の大型案件があったことで、売上収益は226億3,900万円(同3.8%増)となった。

<金属工作機械事業>

 金属工作機械事業においては、受注高は455億4,900万円(前年同期比0.7%減)、売上収益は461億5,400万円(同2.3%増)、営業利益は52億1,200万円(同18.8%減)となった。切削部門では、北米では前期に子会社化した米国の切削機械メーカーであるアマダマーベル社の業績が貢献したものの、国内等で大手鋼材業の設備投資の様子見が見られたことなどにより減収となった。プレス部門では、前期に子会社化したプレス加工の自動化装置メーカーであるアマダオリイ社の業績が寄与し、国内外で増収となった。研削盤部門においては、欧州では平面研削盤の販売が減少し、中国ではプロファイル研削盤の販売が減少したことで減収となった。

■地域別の状況

<日本> 国内では、板金部門において前期に市場投入したファイバーレーザマシンの新商品の販売が好調に推移した。業種としては一般機械関連向けや電気電子機器関連向けの販売が拡大した。またプレス部門では、前期に連結子会社化したアマダオリイ社の業績も寄与したことで、売上収益は997億1,800万円(前年同期比0.9%増)となった。

<北米> 米国では、輸出産業が好調なカナダにおいて板金部門の販売が拡大し、微細溶接部門の販売も医療機器向けを中心に堅調に推移した。切削部門では前期に子会社化したアマダマーベル社の業績が、プレス部門でも同様にアマダオリイ社の業績が寄与したことで、売上収益は507億3,200万円(同4.4%増)となった。

<欧州> 欧州では、英国においては精密機器関連向け等を中心に販売が伸長し、低調だった前年を上回ったが、ドイツでは自動車関連等の一般板金向けの販売が低調に推移した。また政治的不透明感等からイタリアでも販売が減少したことで、売上収益は425億9,900万円(同5.4%減)となった。

<アジア他> 中国では、一部で通信機器向けの需要増が見られたものの、景気減速や米中貿易摩擦の影響等により設備投資が落ち込んだことで、全体では販売が減少した。これにより韓国等の周辺国でも影響が見られ低調に推移した。またインドでも金融機関の不良債権問題等により設備投資が減速したことで、売上収益は353億400万円(同18.5%減)となった。

■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明

 2019年11月7日に公表した業績予想値と比較し、売上収益については、第3四半期連結累計期間において国内や中国を含むアジアにおいて想定を下回る進捗であったことや足元の受注状況、受注残高に鑑み下記のとおり修正。また営業利益、親会社の所有者に帰属する当期利益に関しては、前述の減収による影響に加え、当期に見込んでいた不動産売却益の実現が来期に延伸する見通しとなったことにより、下記のとおり修正した。

 2020年3月期は、売上高3,200億円(前期比5.4%減)、営業利益345億円(同:23.6%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益245億円(同:26.4%減)となる見通し。

 なお、予想の前提となる第4四半期連結会計期間以降の主要為替レートは、1米ドル=108.48円、1ユーロ=120.50円を想定しており、通期の平均レートは1米ドル=108.62円、1ユーロ=120.91円。

 アマダHDの2020年3月期第3四半期決算短信

 第3四半期決算説明資料