牧野フライス製作所、2019年4~12月期売上は20.6%減の1,147憶円

 ㈱牧野フライス製作所が1月31日に発表した2020年3月期第3四半期連結累計期間(2019年4~12月の連結業績によると、受注は1,155億5,800万円(前年同期比28.4%減)、売上高1,147億2,800万円(同20.6%減)、営業利益15億3,200万円(同89.4%減)、経常利益22億5,600万円(同85.4%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益4億1,300百万円(同96.5%減)となった。

■連結経営成績に関する定性的情報

 受注環境は厳しい状況にあるなか、顧客からの生産の自動化に対する要求は高度化している。同社では、この需要は今後の景気回復とともに拡大するとみており、これらに応えるために様々な研究開発と設備投資を継続している。

 同社では今年度、顧客がスムーズに自動化を導入できるよう、パレット自動搬送システムをパッケージ化した「PZ1」の販売を開始した。現在は、自動で経路を作成して移動する無人搬送車を開発し、同社工場設備として運用している。今後この技術を顧客に提供できるよう進めている。昨年度より、顧客の機械と同社のサービス拠点を無線のネットワークでつなげることで、顧客の機械の状況を同社のサービスエンジニアが遠隔地から確認し、迅速な支援ができるサービス「リモートサポート」の提供を開始した。

 昨年度に拡張したシンガポールの工場と、今年度に拡張予定の中国の工場には、生産の効率化と増産を実現するための設備のみならず、顧客に機械を最も効率的に利用してもらうためのソフトウェアやデータを作成・配信するサービス拠点を設けている。また、工作機械の音声操作や予知保全等に最新のデジタルテクノロジーを取り入れ、顧客に万全なサポートを提供すべく取り組んでいる。

 牧野フライス2019年4~12月期データ

■第3四半期(10~12月)セグメント別業績

<セグメントⅠ (「個別」および国内連結子会社)>

 国内受注は前年同期を大きく下回った。前年同期に好調だった自動車と半導体製造装置の部品加工向けの減少が主な要因。受注は来下期から上向くとみている。一部の半導体製造装置関連で設備投資の動きが見られる。また、5Gスマートフォンの開発が進むに伴い、来下期に電子部品関連向けが上向くとみている。自動車向けは厳しい状況が続いており、来下期以降に上向くとみている。航空機向けは、新型機の開発の進捗に伴って、関連した設備投資が出てくるとみている。

 <セグメントⅡ ( MAKINO ASIA PTE LTD >)

 アジアは前年同期に比べ、すべての地域で下回った。中国では、前年同期に好調だった自動車向けが減少した。米中の貿易摩擦の緩和を受けて、新エネルギー車関連を中心に来期以降、滞っていた案件が動き出すとみている。スマートフォン関連では、金型向けを中心に上向くとみている。今後、新型肺炎による製造業への影響が事業活動に及ぶことを懸念している。

 インドは、自動車販売台数の減少による商談の決定延期、および新規引き合いの減少により、前年同期を下回った。その他、一般機械や航空機向けも引き続き厳しい状況が続いている。受注は、自動車向けの回復に時間を要するため、しばらく低迷が続くとみている。

 アセアン地域は、ベトナムとマレーシア向けは堅調でしたが、タイやインドネシア向けの減少により前年同期を下回った。受注は、半導体製造装置向けを中心に来上期から上向くとみている。このほか医療向けの伸びを期待している。

 <セグメントⅢ ( MAKINO INC. )>

 アメリカは前年同期並みとなった。自動車のSUVやピックアップトラック向けにまとまった受注がありました。医療向けは、人工の関節や歯など、インプラントの部品加工向けが堅調に推移している。航空機向けは、一時的に低調だった前年同期に対し、上回る結果となった。エンジン向けの受注は継続しているが、航空機の一部機種の出荷停止による影響が大きくなっている。受注は、来下期以降に上向くとみている。生産停止となっている航空機の運航再開に大きく依存するとみている。

 <セグメントⅣ ( MAKINO Europe GmbH )>

 前年同期を大きく下回った。航空機向けは引き合いを抱えていたが、その多くが中止、延期となった。また、航空機メーカーから同社顧客に対する発注量が減少したことでキャンセルとなった受注があった。ドイツを中心に景気が低調なため、自動車や一般機械の部品加工向けでは、投資の様子見が継続している。

■連結業績予想に関する定性的情報

 第3四半期の受注が低調となり、第4四半期に出荷を見込める受注残が減少したため通期の売上高の予想を引き下げた。売上が減少することと、繰延税金資産の回収可能性が低いと判断した結果、利益が減少する見通しのため、次の通り連結業績予想を修正した。

 売上高1,630億円(前回予想:1,670億円)、営業利益35億円(同:69億5,000万円)、経常利益43億円(同:73億5,000万円)、親会社株主に帰属する当期純利益16億円(同:54億5,000万円)。

 牧野フライス製作所の2020年3月期第3四半期決算短信