オークマが1月31日に発表した2020年3月期第3四半期(2019年4~12月)の連結業績によると、受注額は1,089億4,000万円(前年同期比35.4%減)、売上高は1,320億100万円(同13.8%減)、営業利益は126億2,200万円(同34.5%減)、経常利益は131億6,400万円(同35.1%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は89億6,400万円(同30.0%減)となった。
■経営成績に関する説明
2019年4~12月期における世界経済は、米中貿易戦争の影響に加え、英国のEU離脱や中東情勢をはじめとする政治・外交面の不透明感の高まり等により、景気減速が一段と強まる展開となった。米国経済は、底堅く推移したが、製造業においては停滞が続き、欧州経済はドイツをはじめ、各国で製造業の低迷が景気を下押しした。また中国経済は、対米輸出の減少を減税等の内需拡大策により下支えするも、減速する中で推移した。国内経済は、海外経済の減速に伴い輸出は低迷し、内需においては消費税増税後の影響が一部で見られるなど、景気の足踏みは続いた。
工作機械の需要動向については、米国市場では、航空機産業からの需要は底堅く推移したが、米中貿易戦争の先行き不透明感の高まりを受け、中小規模事業者を中心に設備投資の先送りが顕著となった。欧州市場では、製造業の低迷が長期化する中、全般に投資意欲の低下が強まった。中国市場では、建設機械関係など、一部の産業では底堅さが見られたが、総じて弱い展開が続いた。
国内市場では、労働力不足等への対応から設備投資に対する意欲は見られるものの、輸出の減少や長期化する米中貿易戦争の先行きを警戒し、設備投資を先送りする動きが続いた。
このような経営環境の下、オークマグループは大規模工場のみならず、中小規模工場にも拡がる自動化・無人化の需要に幅広く応えるべく、AI・知能化技術を搭載するスマートマシンの提供や、生産性向上に貢献するスマートマニュファクチャリング技術・製品の提案を進め、受注・売上・利益の拡大に努めた。
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
今後の世界経済の見通しについては、長期化する米中対立や中東における地政学的なリスクの高まり等、政治・外交の先行き不透明感によって、引き続き力強さを欠く展開が続くものと見られる。
工作機械需要の今後については不透明な状況だが、中長期的には構造的な労働力不足への対応として、自動化・無人化への投資はグローバルに根強く、今後とも底堅く推移し、先行き懸念が後退すれば、潜在需要は大きく発現すると見込まれる。
自動車分野では電動化等、環境対応への開発投資も期待される。またAIや5G等、デジタル分野の新技術対応に向けたIT需要は、緩やかながらも回復が見込まれ、工作機械の需要は持ち直しに転ずると予想される。
米国市場では、米中貿易戦争の激化が回避される中、工作機械の需要は回復へ向かうと見込まれる。欧州市場では、外需の回復が進む中、企業の合理化投資等により需要は緩やかな持ち直しに向かうことが期待される。中国市場では、世界的なIT需要の回復や自動車生産が下げ止まる中、工作機械の需要は持ち直すものと思われる。
国内市場では、輸出や半導体市場の需要回復に伴い、合理化・省力化投資や更新投資が再開し、需要は緩やかな回復に向かうと見込まれる。
このような経営環境の下、オークマグループは、世界の製造業の生産性向上を図る技術・製品・サービスの提供により、最高の「ものづくりサービス企業」を目指していく。そして、労働力不足が世界の製造業の課題となる中、高まる自動化・無人化、生産性向上に対するニーズに世界を先導して応えていく。
営業戦略においては、国内、海外に開設した新たな販売・サービス拠点を活用し、航空機エンジンや半導体製造装置等の活況業種への攻略を軸に販売活動をグローバルに展開し、オークマブランドの浸透と顧客開拓を図っていく。また、世界各地の展示会に積極的に参加し、AI・知能化技術を搭載するスマートマシン、生産性向上に貢献するスマートマニュファクチャリング技術・製品をアピールし、顧客基盤の拡大を図っていく。
技術戦略においては、独自のAI・知能化技術を搭載したスマートマシンの開発を更に進めるとともに、次世代ロボットシステム「ROID」シリーズ等、自動化・無人化システムの仕様展開の充実を図り、グローバルに自動化・無人化ソリューションを浸透させていく。さらに、スマートファクトリー「Dream Site」で培った生産革新ノウハウの顧客への提供を図り、ものづくりサービス事業を拡大していく。
製造戦略においては、本社工場のDS1(Dream Site1)、DS2、可児工場のDS3の稼働を一段と高めて超高効率生産の強化を図り、収益力の向上を図っていく。また世界的に高まる「GENOS」シリーズの需要に応えると共に、グローバル調達の拠点とすべく、台湾工場の生産力の強化を図っていく。
2020年3月期連結業績は、売上高1,700億円(前期比19.7%減)、営業利益162億円(同41.3%減)、経常利益170億円(同39.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益110億円(同:40.6%減)の見通し。
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