・ミニショベル用の通信端末システムを新たに開発、顧客のライフサイクルコスト低減に貢献
日立建機は12月12日、従来、中・大型の油圧ショベルとホイールローダに搭載してきた、遠隔監視で建設機械を見守るサービスソリューション「ConSite(R)(コンサイト)」を、2020年度より、3トン以上のミニショベルにも標準搭載すると発表した。ミニショベル用の通信端末システムを開発し、搭載することで、「ConSite(R)」を通じて高付加価値なサービスソリューションを提供していく。
日立建機は、IoTを活用し、建設機械の稼働・位置情報などのビッグデータを蓄積するGlobal e-Service(R)(グローバル イー サービス)のデータに基づいて、遠隔監視で建設機械を常に見守り、データレポートを配信するサービスソリューション「ConSite(R)」を提供し、顧客の課題であるライフサイクルコスト低減に貢献してきた。
これまでは、中・大型の油圧ショベルとホイールローダに「ConSite(R)」を搭載し、データレポートサービスの契約台数は当初の計画を上回る13.9万台(19年9月末時点)に達しており、全体の販売台数に占める契約率は約73%(同)と、顧客から高い支持を得てきた。
ミニショベルは、中・大型油圧ショベルに比べ、シンプルな機能で価格を抑えた製品を求められる傾向にあったため、これまでは、建設機械の稼働・位置情報などを閲覧できるGlobal e-Service(R)をオプションで提供していた。しかし、中・大型油圧ショベルとミニショベルの両方を保有する顧客からは、ミニショベルにも「ConSite(R)」を搭載してほしいという要望を従来から強く受けていた。また、そもそも道路工事などの都市土木で使われることの多いミニショベルは、顧客が短期間でいろいろな場所に移動・稼働させるため、複数の機械の位置情報を把握したいというニーズも根強くあった。
さらに昨今では、多数のミニショベルを保有するレンタル会社の顧客からは、保有資産である建設機械の稼働・位置情報や、稼働中の建設機械の異常を検知して配信されるデータレポートサービスは、多数のレンタル機の管理を行う上で、ライフサイクルコスト低減の観点からも利便性が高いとの声が寄せられていた。
こうした顧客の要望に応えるために、ミニショベル・ミニホイールローダなどの開発・製造・販売を行う100%子会社の日立建機ティエラ(滋賀県甲賀市)が、ミニショベル用の通信端末システムを開発し、日立建機グループとして、「ConSite(R)」を通じて高付加価値なサービスソリューションを提供できるようにした。
建設機械業界はグローバルに新車販売の需要変動が激しい中、狭小地の工事や農林業などで使われるミニショベルやミニホイールローダなどのコンパクト市場は、社会インフラなどの土木工事を中心とする中・大型油圧ショベルと比べると、需要変動の影響を受けにくく、これまで一貫して世界的に需要が拡大してきた。
これまでの中心であった市場は、人件費の高騰に伴い、機械化で作業効率の改善を図ろうとする日本、欧州、北米などの先進国が中心だったが、今後は、経済発展と共に人件費も上昇する一方で、都市化が進み、大型の機械が入れない狭小地での都市土木工事が増えると想定される中国やアジア各国・地域などの新興国でも拡大していくとみられる。
日立建機では現在、推進中の中期経営計画「CONNECT TOGETHER 2019」の中で最も重要な推進項目に掲げている、部品・サービス、中古車、レンタルなどのバリューチェーン事業の深化を図るために、さまざまな取り組みを進めている
2020年度からは新しい中期経営計画に移行するが、引き続き、バリューチェーン事業の深化を図り、顧客のライフサイクルコスト低減に取り組んでいく。今回のミニショベルへの「ConSite(R)」の標準搭載も、成長しているコンパクト市場で顧客に新たな価値を提供し、さらなる事業の拡大を通じて経営基盤の安定化に取り組んでいく取り組みの一環。
日立建機グループでは、これまでも、身近で頼りになるパートナーとして、社会課題を解決するソリューション「Reliable solutions」の提供に取り組んできた。今後もコンパクト事業を拡大し、顧客の課題解決にグローバルに貢献していく。
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