三菱重工サーマルシステムズ、自然冷媒CO2を用いた冷凍冷蔵コンデンシングユニットに40馬力タイプ

・ノンフロンニーズの高まりに応え、2020年夏に販売開始

・少ない設置面積で、大容量対応が可能

・独自の二段圧縮機スクロータリーで安定的な冷凍能力と高効率を両立

   三菱重工サーマルシステムズ(本社:東京都千代田区)は12月11日、自然冷媒のCO2(R744)を使った業務用ノンフロン冷凍冷蔵コンデンシングユニットC-puzzle(シーパズル)シリーズで、大容量モデルとなる40馬力タイプ「HCCV4001M」を開発し2020年夏に販売を開始すると発表した。

 フロン排出抑制法(注1)を受け、食品冷凍冷蔵関連分野でも一層高まるCO2冷媒製品に対する大容量化ニーズに対応したもの。フロン冷媒を使う既存ユニットからの更新需要を中心に開拓し、省エネおよび温暖化抑制などの環境負荷低減をサポートしていく。

 C-puzzleは、食品冷凍冷蔵倉庫の冷却熱源の装置として、2017年から10馬力タイプ(HCCV1001)および20馬力タイプ(HCCV2001M)をラインアップし、今回開発した40馬力タイプにより大型化への対応が可能となった。40馬力タイプは、高効率・低騒音で好評を博しているスクロールとロータリーの圧縮機を組み合わせた独自のスクロータリー二段圧縮機(注2)を搭載した20馬力タイプ2機と、レシーバなどを収納した容器ユニットで構成されている。高さを統一し景観に配慮したデザインを採用する一方で、これらの機器を分離した構成とすることで多様な狭所物件にも対応できる自由な設置性と設置面積の省スペース化を実現している。また、小容量機を複数で設置した場合と比較し、施工配管の簡素化を可能としている。

 C-puzzleが採用しているCO2冷媒は、地球温暖化係数(GWP)が1で非常に低いため温暖化抑制にも大きく寄与する。2016年10月にルワンダの首都キガリ(Kigali)で採択された「モントリオール議定書」の改正(キガリ改正)では代替フロンの生産および消費量の段階的削減が義務化され、気候変動防止に向けた取り組みが世界を挙げて強化されている。

 この流れを受け、日本でも行政を中心に自然冷媒の普及促進策が活発化し、現状は2割程度にとどまっている冷凍冷蔵市場における自然冷媒導入が加速している。特に、冷凍冷蔵倉庫に隣接する小倉庫だけでなく、冷凍冷蔵倉庫そのもの向けの設備更新需要も見込まれるなど、事業領域拡大が期待されている。

 三菱重工サーマルシステムズは今後も、低GWP冷媒を使った高性能製品や自然冷媒製品の拡充に注力し、グローバル市場での地球環境保全に貢献していく。・

・正式名称は「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」で、2001年(平成13年)に制定されたフロン回収・破壊法の全面改正で施行された。

・2015年4月の改正により、冷凍能力1.5kW(約2馬力)以上の業務用コンデンシングユニットは2025年までに使う冷媒の地球温暖化係数(GWP)を1,500(CO2の係数が1)以下にしなければならない。

・2スクロール機構とロータリー機構を組み合せた二段圧縮構造を採用した同社独自の圧縮機。圧力の高い冷媒でも高効率を可能とする世界初の技術を採用しており、特許も取得している。

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