・災害による停電・通信遮断時の通信インフラとして自然エネルギーを活用した通信網を構築
NTNは11月21日、国立大学法人大阪大学(以下、大阪大学)の吹田キャンパスで、ITを活用した防災や見守りに関する共同研究の一環として、拠点間長距離無線伝送実験を11月7日に実施したと発表した。
NTNは、2017年より大阪大学と一般社団法人全国自治会活動支援ネットおよび企業によるITを活用した防災や見守りに関する共同研究に参画している。これまでに、風力や太陽光で発電する独立電源装置「NTNグリーンパワーステーション」を、実験機として同大学吹田キャンパスに3基設置し、実験や内部検証などを行ってきた。
今回は、大阪大学吹田キャンパスの人間科学研究科棟周辺を被災地、近隣の吹田市立津雲台小学校を救援本部と想定し、仮想の被害状況について長距離無線を使って送受信を行った。実験では、人間科学研究科棟前の独立電源装置から被災人数や怪我人の有無などの被災状況をアプリを通じて発信し、キャンパス内の同装置2基、人間科学研究科棟、工学研究科棟のアンテナを経由して、キャンパスから約2.5㎞離れた救援本部へメッセージを送信した。また、カメラ映像による被災状況の確認や被災地と救援本部とのメッセージの送受信も実施した。これまでキャンパス内の通信実験は行ってきたが、長距離間の無線伝送を実施したのは初めてのこと。
今年9月、台風15号により千葉県を中心に大規模被害が発生し、広域かつ長期間にわたって停電や通信遮断が起こったため、被災状況の把握や救援活動が困難な事態となった。共同研究で取り組む再生可能エネルギーを活用した通信システム*3の構築は、こうした事態の解決策となるもの。災害時だけでなく、平常時には監視カメラなどを搭載することで地域の子どもの見守りなどの機能としても活用されことを想定している。
NTNは、今後も本共同研究を通じて防災・減災、そして地域の見守りに役立つシステムの構築を進めることで、地域社会の安全・安心に貢献していく。