東芝エネルギーシステムズ(本社:神奈川県川崎市幸区)は10月15日、インドネシアの電力会社であるPT Geo Dipa Energi(Persero)(以下、GDE社)が計画するジャワ島中部のディエン小型地熱発電所向けに、同国大手のEPC事業者であるPT Inti Karya Persada Tehnik(略称、IKPT社)から地熱発電用の蒸気タービン・発電機1セットを受注し、設計・製造に着手したと発表した。2021年3月に運転が開始される予定。
ディエン小型地熱発電所は、GDE社が2002年から商業運転を開始しているディエン地熱発電所1号機が立地するディエン高原内に新たに建設される10MWの地熱発電所。東芝エネルギーシステムズは、この発電所向けに小型地熱発電設備「Geoportable(TM)」を納入する。
「Geoportable(TM)」は、1~20MW級の小規模な地熱発電向けに東芝エネルギーシステムズが開発した地熱発電システム。洗練されたデザインで、耐腐食性の高い材料技術や、高性能化を実現するタービン蒸気通路部の設計などの先進的技術を採用している。小型のため従来の発電設備では設置が困難であった限られた敷地にも設置することができ、地熱資源の有効活用が可能となる。さらに、標準化された機器をスキッド(注)上に組み上げることによって、工場での製造期間や現地での据付期間を短縮することができる。今回、これらの「Geoportable(TM)」の特長が高く評価され契約に至った。
インドネシアは、約29,500MW相当の地熱資源量を有する世界第2位の地熱資源国と言われ、同国の「電力供給総合計画2019~2028年」においては、2028年までに約4,600MW相当の地熱発電所を新規に開発すると計画されている。さらに、同国の多くの島々では、現在、ディーゼル発電機が多用されているが、その代替として軽油などの温室効果ガスを排出する化石燃料が不要で、かつ設置も比較的容易なコンパクトな小型地熱への期待も高まっている。
東芝エネルギーシステムズは、既にインドネシアにおいて、同国最大の地熱発電所であるサルーラ地熱発電所や、パトハ地熱発電所1号機向けに累計239MW相当の大型の地熱発電設備も納入しており、インドネシアの電力の安定供給に貢献している。
今後も、1MWから200MWにわたる、小型から大型までの幅広い製品ラインアップをベースに、顧客ニーズに応じた最適な製品・ソリューションを提供するとともに、持続可能な社会の実現に不可欠なクリーンエネルギーのさらなる普及に向けて国内外で地熱発電事業を展開していく。
注 スキッド:それぞれの機器を一体化して輸送しやすくするための土台のこと
<プロジェクト概要>
発電所名:ディエン小型地熱発電所
オーナー名:PT Geo Dipa Energi(Persero)社
EPC契約者:PT Inti Karya Persada Tehnik(IKPT)社
所在地:インドネシア共和国ジャワ島中部ジャワ州ウォノソボ県ディエン高原
東芝エネルギーシステムズ供給範囲:小型地熱発電用の蒸気タービン及び発電機「Geoportable(TM)」10MW 1セット
運転開始時期:2021年3月(予定)