・世界初 受電から駆動までのすべてをタイヤのなかに
日本精工(NSK)は10月10日、東京大学大学院 新領域創成科学研究科の藤本博志准教授らの研究グループ(以下、東大グループ)、㈱ブリヂストン、ローム、東洋電機製造と共同で(以下、当研究グループ)、道路からインホイールモータ(以下、IWM)に直接、走行中給電できる「第3世代 走行中ワイヤレス給電インホイールモータ」(画像)を開発し、実車での走行実験に成功したと発表した。
■開発の背景
二酸化炭素(CO2)の排出量を減らす「低炭素社会」の実現は地球規模の課題となっており、自動車においても排出量削減が強く求められている。こうした事情から、世界中の自動車メーカが車両の電動化の開発・普及を推進している。とくに、内燃機関を搭載せず走行中にCO2を排出しない電気自動車(EV: Electric Vehicle)は、有力な解決手段であると言える。
一方で、EVは充電に伴う利便性の課題や、大量のバッテリを生産するために必要な資源量に対する懸念などが指摘されている。EVの持続可能な普及のためには、少ないバッテリ搭載量で効率的に走ることができるEVが求められている。これを実現する一つの手段として、走行中のEVにエネルギーを送る「走行中給電」が注目されており、実現に向けて世界的に多くの研究が行われている。
NSKは、以前より東大グループらと共同で研究開発を行っており、2017年にはインホイールモータへの直接走行中給電を実現した「第2世代 走行中ワイヤレス給電IWM」を発表した。また、東大グループが展開する国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)未来社会創造事業の研究プロジェクト「電気自動車への走行中直接給電が拓く未来社会」(以下、同プロジェクト)に参画し、産学共同で研究を進めている。
今回、研究グループが開発した「第3世代 走行中ワイヤレス給電IWM」は、実用化に向けて【走行中給電性能】、【モータ性能】、【車両への搭載性】を大幅に改善した。
■今後の展望
同プロジェクトでは、今回開発した「第3世代 走行中ワイヤレス給電IWM」の実験と評価を進めつつ、新しいアイデアを盛り込んだ次世代機の提案と試作を意欲的に進めていく。同プロジェクトが提案する「走行中ワイヤレス給電IWM」の実用化に向けて、現在の参画メンバーに留まらず他の組織・企業が持つ様々な領域の知見を広く取り入れながら、2025年に実証実験フェーズへの移行を目指す。
詳細は→ ニュースリリース
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