㈱技研製作所が10月10日発表した2019年8月期連結業績によると、売上高は、32,442百万円(前期比11.3%増)、営業利益は6,689百万円(同11.9%増)、経常利益6,761百万円(同11.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,571百万円(同10.1%増)となった。(数値表記は原文尊重)
■経営成績の概況
2019年8月期における技研製作所グループを取り巻く国内の環境は自然災害からの復旧・復興事業に加え、将来に備えた防災・減災事業や、老朽化した社会インフラの再生・強化などの必要不可欠な需要拡大を背景に、公共事業が堅調に推移した。
特に近年では、気象変動に起因する台風や集中豪雨による洪水、高潮などの大きな被害が繰り返し発生し、国の基盤となる国民の生活や経済を脅かす事態となっている。また、南海トラフ地震や首都直下型地震なども切迫した状況の中で、北海道などで内陸型地震が発生し大きな被害をもたらした。こうした災害はまさに国難であり、国民の生命財産や文化を守っていくため、将来に禍根を残さない確実な対策を進めていくことが喫緊の課題となっている。一方で、持続的な経済発展の基盤となる港湾や道路など、経済を支える基本的な施設の老朽化や改良など社会資本の再整備も大きな課題である。こうした状況を受け、国は今年度の予算の重点化の第一として「被災地の復旧・復興」、第二に「国民の安全安心」を掲げ集中的に防災対策を進めることとしている。なかでも、国土強靭化対策として、3か年緊急対策予算も通常予算とは別枠・上乗せで7兆円が予定されるなど、防災対策の進展に期待が寄せられている。
こうした中、2019年8月期には、大規模地震対策や台風や豪雨災害に備える事前対策工事、河川道路などの災害復旧工事などの防災関連工事、さらには持続的な経済効果を発揮する高速道路の新設、拡幅工事、クルーズ船に対応した岸壁整備、新幹線工事に関する地すべり対策工事など、インプラント工法の採用が広がるとともに、防災対策だけではなくその適用範囲も拡大している。
また、地下開発事業では2019年8月期に東京都墨田区に2基の機械式地下駐輪場「エコサイクル」、東京都五反田の民間企業ビルに2基の機械式地下駐車場「エコパーク」を設置した。そのほか、川崎駅前でも現在2基のエコサイクルの工事を進めている。これらを含めますと、エコサイクルは全国で23か所(57基)、エコパークは3か所(5基)の累計実績となる。今後も引き続き「地上に文化を地下に機能を」をモットーに効率的で豊かな住みやすい街づくりに大きく貢献できるエコサイクル、エコパークの普及拡大を図っていく。
海外事業においては、これまでアメリカ、カナダ、オランダでコンサルタントなど関連企業との協働契約の締結を進め、構造物の設計から施工、材料調達、さらには維持管理まで含めたパッケージ提案などを進めている。こうした活動により、当期にはニューヨーク マンハッタンの住宅街での圧入工法が採用され完工し、今後の発展のための大きなきっかけとなった。また、技研製作所グループのJ Steel Group Pty Limited(Jスチール社)においても圧入工法の提案活動を進め、オーストラリアでのパッケージ提案による工事実績も出来始めた。ODA事業ではセネガル共和国ダカール港での岸壁改修工事がインプラント工法で進みつつあり、エジプト・アラブ共和国の首都カイロでも病院改築工事で圧入工法による鋼矢板施工が進んでいる。今後も関連企業との関係を強化するとともに、ODA事業を担当する官庁やコンサルタントなどへの現場見学会を都内で開催するなど、積極的に丁寧な提案活動を続け、海外事業の発展を加速させていく。
技研製作所グループでは、「中期経営計画(2019年8月期-2021年8月期)」にもとづき、2021年8月期の数値計画を売上高400億円、うち海外売上高116億円、営業利益87億円と目標を定めている。これら計画の達成に向けグループ一丸となって取り組んでいくとともに、技研製作所グループは今後も引き続きインプラント工法の普及拡大をグローバルに展開し、世界の建設工事を大きく変え、安心・安全・快適な国づくりに貢献していく。
■セグメント業績
<建設機械事業>
災害復旧工事の本格化や防災・減災対策関連需要の継続、インプラント工法の適用範囲の拡大に伴い、「サイレントパイラーF101」や「サイレントパイラーF111」など普及機に加えて、ジャイロプレス工法に対応した「サイレントパイラーF401」などの販売が好調に推移した。
このような状況のもと、建設機械事業の売上高は23,638百万円(前期比12.5%増)、セグメント利益は7,855百万円(同17.6%増)となった。
<圧入工事事業>
前期に引き続き、災害復旧工事や防災・減災関連工事において、技研製作所工法の採用が堅調に推移し、東日本大震災で被害を受けた岩手県や宮城県、南海トラフ巨大地震による被害が想定される高知県や和歌山県などにおいて引き続き堤防工事などを実施した。また、九州新幹線の地すべり抑止工事や新名神高速の延伸・改良工事も施工中である。
このような状況のもと、圧入工事事業の売上高は8,803百万円(前期比8.3%増)となった。一方、利益面においては、前期と比較して、海外事業基盤の整備に伴う人員増強等により販売費及び一般管理費が増加し、セグメント利益は755百万円(同18.4%減)となった。
■今後の見通し
2020年8月期の業績については、連結で売上高36,000百万円(前期比11.0%増)、営業利益6,900百万円(同3.2%増)、経常利益6,900百万円(同2.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,700百万円(同2.8%増)を見込んでいる。
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