㈱安川電機は10月10日、2020年2月期第2四半期(2019年3~8月:上半期)連結業績を発表した。それによると、売上高は2,117億80百万円(前年同期比14.7%減)、営業利益は121億57百万円(同59.2%減)、経常利益は127億78百万円(同58.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は87億93百万円(同66.3%減)となった。
■2020年2月期第2四半期(2019年3~8月)の経営成績
第2四半期の経営環境は、期初には中国の経済政策により持ち直す動きがみられたものの、米中貿易摩擦の長期化による影響拡大や半導体関連の投資先送りなどにより、グローバルで設備投資に慎重な姿勢が強まったことから、総じて厳しい状況となった。安川電機グループの業績は中国・アジアのモーションコントロール事業を中心に、好調だった前年同期と比較して売上高・営業利益ともに減少した。
日 本:社会インフラ関連の需要が底堅く推移したものの、半導体関連の設備投資は低迷した。
米 国:半導体・自動車などの市場は低調に推移したものの、底堅い経済成長を背景にオイル・ガス関連などの需要は堅調に推移した。
欧 州:製造業全般の景気悪化の影響を受け、自動車関連を中心に設備投資を控える動きがみられた。
中 国:環境規制対応のための設備投資や社会インフラ関連の投資が行われたほか、期初には金融緩和などの財政政策によって持ち直す動きがみられた。しかしながら、米中貿易摩擦の長期化に伴う影響拡大により、前年同期に高水準だった生産設備の高度化・自動化に関する需要は大きく減少した。
中国除くアジア:韓国を中心に半導体関連の設備投資減少の影響を大きく受け、需要は低迷した。
<モーションコントロールセグメント>
売上高:923億61百万円(前年同期比21.6%減)、営業損益:108億96百万円(同51.3%減)
モーションコントロールセグメントは、ACサーボモータ・コントローラ事業とインバータ事業で構成。
インバータ事業の販売が米国・中国などで底堅く推移したものの、ACサーボモータ・コントローラ事業においては需要低迷の影響を大きく受け売上がグローバルで減少したことから、セグメント全体の業績は悪化した。
〔ACサーボモータ・コントローラ事業〕
スマートフォン関連需要の低迷や半導体関連の投資先送りに加え、米中貿易摩擦の長期化に伴う影響拡大により、前年同期には高水準だった生産設備の高度化・自動化に関する需要が減速したことから売上高は減少し、営業利益は操業度の悪化などにより減少した。
〔インバータ事業〕
中国での環境規制対応のための設備投資や社会インフラ関連の投資が継続したことに加え、米国におけるオイル・ガス関連需要が堅調に推移したことなどから、売上高・営業利益はともに底堅く推移した。
<ロボット>
売上高:806億29百万円(前年同期比8.6%減)、営業損益:33億53百万円(同63.7%減)
溶接・塗装ロボットなど自動車関連向けの売上は日本で底堅く推移した一方、米国などで伸び悩むなど、地域ごとに強弱混在の状況となった。特に中国においては米中貿易摩擦の影響を大きく受け、自動化投資は勢いを欠く状況が継続したことから、セグメント全体の売上高は前年同期から減少した。営業利益は、売上減少や在庫調整などにより操業度が悪化し、前年同期から減少した。
<システムエンジニアリング>
売上高:273億71百万円(前年同期比16.6%増)、営業損益:△7億26百万円(同:38百万円悪化)
システムエンジニアリングセグメントは、環境・社会システム事業と、子会社である安川オートメーション・ドライブが扱う産業用オートメーションドライブ事業で構成。
セグメント全体の売上高は新規連結の影響もあり伸長した一方、利益面においては鉄鋼プラント関連の売上減少などにより僅かに悪化した。
〔環境・社会システム事業〕
環境エネルギー分野においては太陽光発電用パワーコンディショナの売上が伸び悩んだ一方、社会システム分野では国内における上下水道用電気システム関連の売上が底堅く推移した。
〔産業用オートメーションドライブ事業〕
鉄鋼プラント関連では案件の後倒しにより売上が減少したものの、港湾クレーン向けが堅調だったことから、事業全体では総じて底堅く推移した。
<その他>
売上高:114億18百万円(前年同期比39.1%減)、営業損益:△1億87百万円(同7億60百万円悪化)
その他セグメントは、情報関連事業や物流サービス事業などで構成。組織変更に伴うセグメント区分の組み替え影響などにより、前年同期に対し売上高は減少し、営業損益は悪化した。
■2020年2月期見通しは修正
2020年2月期(2019年3月1日~2020年2月28日=2019年度)の連結業績は、売上高4,200億円(前回予想:4,650億円)、営業利益250億円(同:465億円、経常利益260億円(同:480億円)、親会社株主に帰属する当期純利益190億円(同:350億円)と修正した。
修正理由:米中貿易摩擦の長期化による影響拡大や半導体関連の投資先送り等により、グローバルで設備投資が鈍化していることを受け売上高は減少した。これに伴う操業度の悪化等により利益も減少した。その他、為替も想定より円高に推移していること等、総合的に勘案した。
なお、下期の平均為替レートは、期初計画の1ドル=110.0 円から105.0 円、1ユーロ=125.0 円から120.0 円、1元=16.50 円から15.00 円、1ウォン=0.100 円から0.090 円に見直した。また、業績予想変更に伴う年間配当予想については、変更しなかった。
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