・市場の急拡大見据えて現地に進出、市当局と合意書に調印
・新会社「菱重汽車空調系統(常熟)有限公司」(仮称)として市内の工業団地で発足
・電動圧縮機を年間50万台から生産スタート
三菱重工グループの三菱重工サーマルシステムズ(本社:東京都千代田区)は10月9日、中国の常熟市(江蘇省)が運営する工業団地にカーエアコンの生産拠点を設立することを決定し、8日に常熟市当局と新会社設立に関連した合意書に調印したと発表した。中国市場は、EV(電気自動車)をはじめ環境に配慮した新エネルギー車に対する需要の急激な拡大が期待できる最重要市場と見込まれており、その現地に進出して成長率が高まっている電動圧縮機を生産するもの。2021年度内に稼働を開始し、カーエアコンとしては2ヵ所目の中国拠点として、年間50万台の生産能力を確保する。
この生産拠点は、三菱重工サーマルシステムズ100%出資の新会社「菱重汽車空調系統(常熟)有限公司」(仮称)として、かねてより三菱重工グループと親交の深い同市内の「常熟高新技術産業開発区」に年内に発足する予定。日本、米国、上海、タイの既存の生産拠点で培った生産ラインに関するノウハウを導入することにより、工場立ち上げ期間短縮を実現して早期に高い生産性を確保。さらに、組み立てや部品に関連した情報のトレーサビリティシステムのノウハウも採用することで、顧客のニーズに応えた供給体制を構築し、順次生産能力を増強する計画。
電動圧縮機は、エンジン駆動を利用したベルト式圧縮機とは異なり、電気を制御するインバータ基板やコントローラーなどが内蔵され、独立した稼働が可能となる製品。三菱重工サーマルシステムズは多様な圧縮機を手掛けているが、中国の工場では、小型・軽量・省動力化を極限まで追求し、Automotive Spice Ver.3.0に基づき開発したソフトウェアを搭載した電動式スクロール圧縮機を生産する予定。同電動圧縮機は、従来機に比べスクロール諸元の最適化、インバータ制御方式の見直しや部品配置などの構造を見直したことで業界トップクラスの小型・軽量・省動力化を実現している。
三菱重工サーマルシステムズは、カーエアコン事業以外にも、ビルや地域冷暖房、工場などの大空間空調を実現する大型冷凍機事業や家庭向け空調事業、輸送冷凍機事業など様々な事業領域におけるサーマルソリューションを提供している。今後も、事業領域の広さを活かしたシナジーを発揮しつつ、カーエアコン事業においても小型・軽量・省動力化を追求した製品とその最適マネジメントシステムを提供し、より快適な車社会の実現と地球環境保護に貢献する。
画像・上:調印式の様子
画像・下:電動式スクロール圧縮機
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