㈱ジェイテクトは10月8日、電動キャリパブレーキ(EMB:Electro Mechanical Brake)への適用を想定した「非循環ボールねじ」を開発したと発表した。EMBは、ディスクブレーキのピストンを押す駆動源を油圧から電動モータに変更したブレーキ方式。電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)等の電動車に適しており、車両の軽量化やCO2排出削減、快適性の向上に貢献する。
■開発の背景
近年の環境規制に対応するため自動車業界においても電動化や自動運転化が急がれる中、搭載する部品も、油圧から電子制御への置き換えが進んでいる。
EVやHEVのブレーキには、回生ブレーキと摩擦ブレーキが併用されている。回生ブレーキは、モータの回転する力を電力エネルギーに変換することで減速する仕組みで、この『エネルギー回生』を最大に生かす摩擦ブレーキの制御が、自動車の燃費向上につながる。摩擦ブレーキにボールねじを用いることで、エネルギー回生の効率向上ならびに制動性の向上に貢献できる。
■開発品の特徴
ボールねじは、電動モータの回転運動をブレーキピストンの直線運動に効率よく変換する。一般的に、ボールねじは直線運動する際にボールが軌道から脱落しないよう循環させる機構が主流。循環させる機構には様々なタイプがあるが、どの機構も、循環部を作ることにより本体が大きくなるというデメリットがある。
ジェイテクトでは、EMBがブレーキ制動時に必要とする直線運動距離が短いことに着目し、ボールとボールの間にばねを介在させることで循環機構を廃止しても回転を続けられる小型化したボールねじを開発した。また、グリースの改良により油膜切れによる効率の低下を防ぐことで、十分な耐久性を確保し、メンテナンスフリーを実現している。
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