JICA、ベトナム初の大規模水上太陽光発電事業への融資、信託基金“LEAP”を通じた支援

 独立行政法人国際協力機構(JICA)は10月3日、JICAが出資する『アジアインフラパートナーシップ信託基金 (“Leading Asia’s Private Infrastructure Fund”:LEAP)』を活用し、アジア開発銀行(ADB)がベトナム初の水上太陽光発電事業への融資(総額37百万ドル)について、10月2日に契約調印したと発表した。

 同事業はベトナムで初の水上太陽光発電事業であり、石炭やディーゼル燃料への依存を減らし、よりクリーンな国内エネルギー資源の活用を促進するもの。特に太陽光発電に適した日射量が得られるベトナムの中南部では、用地取得の制約を受けない水上に太陽光パネルを敷設する発電事業が同事業を契機として今後一層促進され、さらなる再生可能エネルギーの導入が期待される。

 同事業は、ベトナム中部のビントゥアン省におけるダーミー水力発電所の貯水湖上にソーラーパネルを敷設し、定格容量47.5MWの発電を行う太陽光発電事業。ADBの融資にはLEAPによる融資4.4百万ドルが含まれている。

 ダーミー水力発電所は1990年代にわが国の円借款「ハムトアン・ダーミー水力発電所建設事業」により建設されており、同事業は円借款で建設を支援した貯水池の有効活用にも資するもの。

 LEAPは2015年11月21日に日本政府より発表された「質の高いインフラパートナーシップ」のフォローアップ施策において言及され、アジア及び大洋州地域の質の高い民間セクターのインフラ案件を対象とし、民間セクターが官民連携パートナーシップ(PPP)等の様々な形態を通じて実施するインフラ事業に対して、出融資による支援を行うもの。

 JICAは2016年3月にLEAPに対して15億ドルの海外投融資による出資を承諾しました。業務開始以降、これまで累計5億ドルの出融資承諾を行い、インドやインドネシアでの保健事業やモンゴルやタイでの再生可能エネルギー事業等、幅広い分野で質の高いインフラ事業への支援を行っている。LEAPは現時点で12案件に対する出融資を行い、ADBの自己勘定及び他の協調出融資パートナーから累計37億ドルの資金動員をしている。LEAPはアジア太平洋のADB加盟国における質の高い、持続可能な民間セクターによる幅広いインフラ事業を支援しており、支援対象分野は温暖化ガス削減、省エネルギー、良心的な価格での医療サービス等多岐にわたる。

 JICAは今後も各国・国際機関と協働し、「質の高いインフラ投資」を推進し、「持続可能な開発目標(SDGs)」も踏まえた開発途上国・地域の経済社会開発に貢献していく。

 画像:発電所全景

 ニュースリリース

 *リリース内容から「ですます調」で表記しています。