・深層学習により物体認識率を大幅に向上、作業の自動化・省人化を実現
㈱IHIは9月24日、グループ会社である㈱IHI物流産業システム(本社:東京都江東区、以下ILM)が米国サンフランシスコを本拠地とするOSARO社と物流作業におけるピッキングを自動化する、OSAROの深層学習による物体認識技術を搭載したピッキングロボットならびに周辺装置(以下、本システム:画像はデモ機)を開発したと発表した。また、ILMはOSAROと日本、東南アジア地域における優先パートナー(Preferred Partner)契約を締結し、本システムの販売を開始する。
近年、労働力人口の減少や最低賃金の上昇などにより、多くの産業において、人員の確保が課題となっている。物流業界では、世界的なeコマースの拡大やオムニチャネル化などの進展によって、多品種少量配送のニーズが高まっている。
とりわけ、配送センターにおけるピッキング作業はさまざまな形状や重さ、硬さの商品をピッキングするため、自動化が難しく、現在、多くの人手によって作業が行われており、ロボットを活用した自動化、省人化への対応が強く求められている。今回、IHIとOSAROは、OSAROのもつ深層学習による認識技術を活用して、このパラダイムを変革した。
IHIは2016年度より、産業用ロボット向けの深層学習を中心とした技術開発を行う米国スタートアップ企業のOSAROと、ピッキング作業の自動化を目指したロボットシステムの研究開発を行ってきた。そしてこのほど、IHIおよびILMは、OSAROと深層学習による認識技術を活用した本システムを共同で開発し、製品化に成功した。また、ILMはさらなる研究開発の加速を目的として、OSAROと日本、東南アジア地域における優先パートナー(Preferred Partner)契約を締結し、10月に本システムの販売を開始する。
本システムは深層学習による物体認識技術を活用し、2次元ビジョンカメラでさまざまな商品の位置(座標)を認識することが可能となり、商品の大きさや形状に適したハンドリングツールを用いて商品をケースからピッキングしたあと、オリコン(折り畳みコンテナ)などの出荷容器に投入する。本システムの活用によりこれまで人手に依存していたピッキング作業の自動化に加え、夜間などの時間帯での活用により、生産性の向上を可能とする。
ILMでは、本システムの他にも深層学習を活用し、事前の画像データの登録やティーチングが不要なデパレタイズ(荷下ろし)システムを製造・販売している。
ILMは今後も、配送センターにおけるさらなる自動化、省人化に向けて、ロボットおよび自動倉庫システムなどの前後設備を含めた、総合的な物流ソリューション提供に取り組んでいく。
<本システムの特長>
- 深層学習を物体認識に適用
さまざまな形状やパターンを持つ商品の位置とサイズを優れた精度で認識
2.商品表面が光って見えにくい場合や、見る角度によって図柄の見え方が異なる場合でも、柔軟に物体を認識することが可能
3.商品の認識率を、従来の30%程度から80%まで大幅に改善
<本システムの仕様>
大きさ: (ロボット本体)高さ960mm、幅300mm、リーチ1100mm
取り扱い物: 日用品、食品、化粧品、衣料、電子部品、ボトル、パウチ等
<OSARO社の概要>
OSAROは、サンフランシスコに拠点を置く産業用自動化向けAIソフトウェアに特化した機械学習を基盤とする会社。OSAROは、産業用ロボット向けの統合ビジョンおよび経路計画ソフトウェアを提供し、eコマース自動倉庫と統合する最初のソリューションであるOSARO Pickを2018年初頭に日本に展開した。www.osaro.com/
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