㈱三井E&Sマシナリーは9月12日、玉野機械工場(岡山県玉野市)で製造するNOx三次規制に対応した三井-MAN B&W型ディーゼルエンジンの生産量を飛躍的に拡大すると発表した。
国際海運の世界においても、IMO(国際海事機関)による環境規制が強化されており、船舶から排出されるNOx(窒素酸化物)については、三次規制では特定海域で2000年比80%減を満たす必要があるため、2018年度2基に対し、2019年度14基、2020年度81基(予想)とする。
NOx三次規制への対応技術は複数ある、日本国内ではおよそ二つのタイプに分類される。国内の船舶用大型ディーゼルエンジンでトップシェアを誇る同社は、工場内に設置した世界最大級のテスト用ディーゼルエンジンを用いて、実機ベースでの環境規制対応技術開発を進め、世界初のビルトイン方式による排気ガス再循環システム(Exhaust Gas Recirculation:以下、高圧EGR)を開発した。
一方、他の対応として、触媒や還元剤を用いて化学的反応により排気ガス中のNOxを還元する高圧SCR(Selective Catalytic Reduction:選択的触媒還元)がある。
同社の高圧EGRは、エンジンからの排ガスの一部を冷却・洗浄後に掃気管へ再循環させることで、掃気中の酸素含有量を下げ、燃焼時のNOx生成を著しく抑制する技術。EGRの主要機器をエンジンに一体装備(ビルトイン)することによりコンパクトな機器構成となり、各種NOx規制対応技術の中では、機関室設計および船舶の建造工程への影響が少ない特徴を有している。また、排ガス洗浄水の処理システムの改良を行ったことで、水処理システムからの排水量が減少し、かつ、初期コストも高圧SCRと同等以下となったことが評価されている。
EGR運転時はNOx排出量削減を優先するチューニングのため、若干燃費が悪化するた、現在開発中の次世代型Eco-EGRを採用すれば、三次規制海域外での運転における燃費率が大きく改善される。
運航コストに関し、高圧EGRでは、排ガス洗浄水の中和に苛性ソーダを使用するのに対し、高圧SCRでは尿素水を還元剤として使用する。高圧SCRで使用する還元剤の使用量に比べ、高圧EGRで使用する苛性ソーダは少ないため、EGR運転時の燃費率悪化を考慮しても高圧EGRの方が運航コストの削減に寄与することが評価されている。
さらに、ライセンサ(MAN Energy Solutions社)製の高圧SCRの開発にも関与し、すでに受注実績があり、今後も、様々な顧客の要望に応える体制を構築していく
■三井-MAN B&W型 NOx三次規制対応ディーゼルエンジンの生産量及び生産予定
2018年度:2基(内訳:高圧EGR 2基、高圧SCR 0基)
2019年度:14基(内訳:高圧EGR 13基、高圧SCR 1基)
2020年度:81基(内訳:高圧EGR 71基、高圧SCR 10基)
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