三菱重工航空エンジン、787型旅客機に搭載されるTrent1000エンジンのIPCモジュールを換装、ANAから受注し初出荷

・9月10日にはANA関係者とともに記念式典を開催

・これまでの整備実績などが評価され、事業領域の拡大へ

 三菱重工グループの三菱重工航空エンジン(MHIAEL、本社:愛知県小牧市)は9月12日、全日本空輸(ANA)が運航するボーイング社の最新中型ジェット旅客機「787」に搭載する英国ロールス・ロイス社製エンジン「トレント1000(Trent1000)」(画像)に装備されている中圧圧縮機モジュール(IPCモジュール(注))の換装作業を受注、9月11日に換装後のエンジンを初めて出荷したと発表した。MHIAELは永年にわたりANAが所有する米国プラット・アンド・ホイットニー社製エンジン「PW4000」のモジュール整備作業を受託しており、これまでの整備実績や同社との関係が評価され、今回の換装作業受注につながったもの。

 換装作業は、MHIAELが本社工場を置く三菱重工業 名古屋誘導推進システム製作所の認定事業場敷地内は当面繁忙期が続くことから、三菱重工グループの航空・宇宙事業における協力企業である東明工業(本社:愛知県知多市)の知多工場および知多北工場に確保した作業エリアで実施している。

 ANAからTrent1000エンジンを受領後、それを分解し、既存のIPCモジュールを取り出し改修型IPCモジュールに交換装着、エンジンを再び組み立て、ANAに返送する。初出荷に先立つ9月10日には、現地でANA関係者も出席し出荷式典を開催した。

 787はドリームライナー(Dreamliner)と呼ばれ、中型機としては航続距離が長く、ボーイング社が誇る次世代型ジェット旅客機。2004年にANAが世界で初めて50機を発注してローンチカスタマー(Launch Customer:新規開発の後ろ盾となった航空会社のこと)となった機種であり、搭載されているTrent1000エンジンにはMHIAELも開発段階からプログラムパートナーとして参画している。

 MHIAELは、航空エンジンのMRO(修理・整備:Maintenance, Repair, Overhaul)事業を今後の企業成長における支柱の一つに育成していくことを目標に掲げており、今回の換装作業受注もこの路線に沿った事業領域の拡大につながるもの。

 MHIAELは今後も、航空エンジンの開発・製造・MRO事業における技術力や信頼性の向上に研鑚を積み、日本における航空エンジン産業の発展に貢献していく。

(注)Intermediate Pressure Compressorの略。TrentシリーズのIPCモジュールはブレードを取り付けたローター、フロントベアリング支持構造など、数千点の部品で構成されている。

 ニュースリリース