イーグル工業(本社:東京都港区)は9月4日、次世代の油圧ハイブリッドシステムとして、アキュムレータを用いたエネルギー回生システムを開発したと発表した。
近年、世界各地で発生している異常気象の一因であるCO2 などの温室効果ガスの抑制対策を始めとした地球規模での温暖化対策が求められている。
建設機械業界においても、2015 年COP21(仏国・パリ開催)で採択された『パリ協定』に基づき低炭素型建設機械認定制度が施行され、各社、油圧ショベル、ブルドーザ、ホイールローダ等の低炭素型建設機械の開発に力を入れており、またランニングコストの削減も重要な課題となっている。
このような背景から、現在、油圧ショベルでは、旋回に電動モータを用いた電動ハイブリッドとアキュムレータを用いた油圧ハイブリッドが市場に投入されている。
電動ハイブリッド型油圧ショベルは、上部旋回体を旋回電動モータで旋回させ、減速時の電気エネルギーを、発電機を使ってキャパシタなどに蓄え、旋回加速時にそのエネルギーを放出して旋回をアシストする機構となっている。しかし、油圧ショベルによる作業の中には、旋回の使用割合が小さい作業もあり、また、機械エネルギーを一旦、電気エネルギーに変換し、再度、機械エネルギーに戻すというシステムのため、油圧ハイブリッドに比べ、その構成部品も複雑で高コストであり、エネルギーロスも大きいという課題がある。
一方、油圧ハイブリッドでは、ブームは使用頻度が非常に高く、ブームシリンダからの戻り油をアキュムレータに蓄液して使用するのが有効であることは従来から知られていた。しかしブームシリンダからの戻り油をそのまま、直接、アキュムレータに蓄液する方法では、ブームの操作の仕方によってアキュムレータ内の蓄液油量が安定せず、また、蓄液圧力も低いため、効果的にエネルギーを回生することが難しいという課題があり、最近まで実用化に至っていなかった。
イーグル工業は、これらの課題を一挙に解決するため、ブームシリンダからの戻り油の一部を、分流弁を介して回収し、独自の自己圧作動型の増圧器で所定の高圧に増圧した油をアキュムレータに蓄液した後、回生バルブを介して効果的に高圧エネルギーを回生すると同時にポンプ出力を低減することでシステムの省エネを図り、低燃費やCO2 削減を実現できる、画期的な油圧ハイブリッドシステムを開発した。
イーグル工業の油圧ハイブリッドシステムは、ブームラインだけではなく、アームやバケットラインにも適用し、電動ハイブリッドとの併用も可能。また、ホイールローダやブルドーザといった油圧ショベル以外の建設機械やトラクタのような農業機械、更には、フォークリフトの様な荷役運搬機械等、様々な油圧システムを採用している装置や設備に幅広く適用する事が出来る。
イーグル工業社内評価で燃費低減10%以上達成の目途を得、今後フィールドで実機を用いた実証試験を行い、燃費低減やCO2 削減効果及び信頼性の確認を実施の上、市場に投入することで顧客の経営コストの削減や地球温暖化抑制による持続可能な低炭素社会の実現に向けて貢献していく。
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