酒井重工業、2020年3月期第1四半期売上は15.7%減の53.3億円

 酒井重工業が8月9日に発表した2020年3月期第1四半期(4~6月)連結業績によると、売上高は、国内販売が伸長したもののアジア・新興国向け販売が落込み、前年同期比15.7%減の53億3千万円となった。利益面では、売上高の減少と米中間サプライチェーン修正に伴う原価上昇の結果、営業利益は前年同期比73.3%減の1億4千万円、経常利益は同69.5%減の1億5千万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同44.8%減の1億1千万円となった。

 4~6月期における事業環境は、日米先進国経済が堅調に推移する一方で、アジア・新興国経済の減速が鮮明化すると共に、米中冷戦構造を軸とした地政学情勢の緊迫化、テクノロジー革命に伴う産業構造変化の急進など、世界の政治、経済、技術情勢が大きく変化する中で推移した。

 このような情勢の下で酒井重工業グループでは、北米向けサプライチェーンの修正、自律走行ローラの研究開発、インドネシア拠点の生産能力倍増投資等、新たな事業環境における成長基盤づくりに注力してきた。

■連結地域区分別売上高状況

 国内向け売上高は、排ガス規制特需反動減の解消により好調に推移し、前年同期比21.5%増の25億7千万円となった。海外向け売上高は、アジア・新興国向け販売が停滞し、前年同期比34.4%減の27億5千万円となった。

 北米向け売上高は、住宅建設投資がピークアウトする中で、道路建設等の政府建設投資が拡大基調に推移し、前年同期比3.0%増の15億5千万円となった。アジア向け売上高は、インドネシアやタイなど主要市場において経済情勢悪化と選挙の影響で需要が停滞し、前年同期比55.0%減の10億7千万円となった。中近東・ロシアCIS向け売上高は、不安定な地域情勢が続く中で販売停滞が続き、前年同期比90.3%減の6百万円となった。その他市場向け売上高は、大洋州及びアフリカ向け販売が弱含むと共に、中南米向け販売が停滞し、前年同期比50.9%減の1億1千万円となった。

 酒井重工業2020年3月期第1四半期データ

■セグメント業績

<日 本> 国内向け販売が好調に推移したものの、海外向け販売及び海外工場向け部品輸出が減少した結果、総売上高は前年同期比17.1%減の39億3千万円となり、営業利益も4千万円の損失となった。

<海 外> 米国では堅調な市場環境が続き、総売上高は前年同期比2.5%増の15億6千万円、営業利益はサプライチェーン修正に伴う原価上昇により同46.1%減の9千万円となった。

 インドネシアでは国内市場の停滞にアジア・新興国向け輸出の減速が重なり、総売上高は前年同期比68.8%減の7億1千万円、営業利益は同93.4%減の2千万円となった。

 中国では北米向け輸出を縮小させる一方で国内販売を拡大した結果、総売上高は前年同期比9.7%減の4億円ながら、営業利益は2千万円の黒字に転換した。

■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明

 今後国内では、国土強靭化対策の執行に伴い政府建設投資が底上げされることから底堅い事業環境が続くものと予想。海外では、世界経済がピークアウトする一方で、欧米や中国において金融緩和とインフラ投資による景気刺激策が動き始め、東南アジア諸国でも停滞していた経済情勢に底入れの兆しが見えて来ていることから、当面は一進一退の事業環境が続くものと予想している。

 このような見通しにおいて酒井重工業グループでは、変化を大前提とした事業経営と、海外事業と次世代事業による中長期成長戦略を基本に、需要変化対応力の強化、米中対立に伴う米国事業と中国事業の収益構造改革、新技術活用による次世代事業の開発、組織能力のバージョンアップ投資など、変化対応と成長戦略を積極的に推進し、新たな事業環境における成長基盤を固めていく。

 2020年3月期連結業績は、売上高265.6億円(前期比1.0%減)、営業利益14億円(同1.0%減)、経常利益11.8億円(同1.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益8.3億円(同0.6%増)を見込んでいる。

 酒井重工業の2020年3月期第1四半期決算短信